赤ちゃんのおなかの病気 腸重積症の症状とケア【医師監修】
赤ちゃんの胃や腸は、機能や形態が未発達です。吐きやすく、粘膜が敏感なため、ウイルスや細菌に感染すると下痢を起こしがち。おなかの病気でいちばんの手がかりは、うんちの変化。いつもと違うと感じたら、早めに対処することが大切です。生後0ヶ月~3歳ごろまでの赤ちゃんが、かかりやすい病気の症状やホームケアをまとめました。
赤ちゃんの腸重積症(ちょうじゅうせきしょう)って?
腸が重なり合って壊死を起こすことも。激しく泣くのを繰り返すときは、この病気を疑って。
腸重積症の主な症状
・嘔吐
・腹痛
・顔色が悪い
・血便
腸重積症になりやすい月齢・年齢
生後6ヶ月~
腸重積症になりやすい季節
通年(春・夏・秋・冬)
赤ちゃんの腸重積症 激しく泣く、泣きやむを繰り返します
腸の一部が腸の中にもぐり込んで重なってしまう病気。
生後6ヶ月くらいから1歳くらいまでに起こりやすい病気ですが、生後3~4ヶ月から2歳くらいでも起きている例があるので注意が必要です。
原因ははっきりと解明されていません。
顔色が急に青くなって激しく泣きだし、10~30分間隔で火がついたように泣いたり、急に静かになったりする状態を繰り返します。
しだいにその間隔が短くなり、ぐったりしてきます。嘔吐を伴うこともあります。
腸管にある細い血管が破れて血液が腸の中に入るため、便に血液と粘液が混じり、いちごジャムのような真っ赤な血便が出ることもあります。
処置が遅れると、もぐり込んだ腸が血行障害を起こし、壊死してしまう場合もあります。
異常を感じたら、すぐに受診することが大切です。
赤ちゃんの腸重積症の治療 高圧浣腸で、重なった部分を押し出します
おなかの右側を触ってチェックしたり、超音波検査やX線検査をして診断します。
発症後24時間以内なら、空気や生理食塩水で薄めた造影剤を肛門から注入し、重なった腸を押し出す高圧浣腸が有効です。
24時間以上経過して腸の壊死が疑われる場合や高圧浣腸で回復しなかった場合は、手術が必要になります。
10%程度で再発が見られるため、手術をしなくても翌朝まで病院で様子を見ます。
●イラスト/ヌガトモコ
■赤ちゃん おなかの病気
・ウイルス性胃腸炎・乳児下痢症
・細菌性腸炎・食中毒
・腸重積症
・肥厚性幽門狭窄症
・胃食道逆流症
・胆道閉鎖症
・先天性胆道拡張症
・鼠径ヘルニア・脱腸
・臍ヘルニア
・臍炎・臍肉芽腫
■ママ・パパが気になる!赤ちゃん おなかの症状
・乳糖不耐症
・単一症候性下痢
・腸管リンパ濾胞過形成
・レンガ色の尿
・生理的嘔吐
・生理的便秘
▼参照:『最新!赤ちゃんの病気新百科』
※表記している、月齢・年齢、季節、症状の様子などはあくまで一般的な目安です。
※この情報は、2019年4月のものです。