赤ちゃんのおなかの病気 細菌性腸炎・食中毒の症状とケア【医師監修】
赤ちゃんの胃や腸は、機能や形態が未発達です。吐きやすく、粘膜が敏感なため、ウイルスや細菌に感染すると下痢を起こしがち。おなかの病気でいちばんの手がかりは、うんちの変化。
いつもと違うと感じたら、早めに対処することが大切です。生後0ヶ月~3歳ごろまでの赤ちゃんが、かかりやすい病気の症状やホームケアをまとめました。
赤ちゃんの病気【細菌性腸炎・食中毒】って?
O-157などで知られる食中毒。とくに7~10月に発生率が高くなるので細心の注意を。
細菌性腸炎・食中毒の主な症状
・嘔吐
・下痢
・血便
・発熱
細菌性腸炎・食中毒になりやすい月齢・年齢
新生児期~
細菌性腸炎・食中毒になりやすい季節
通年(春・夏・秋・冬)
赤ちゃんの細菌性腸炎・食中毒 細菌により症状や感染経路が異なります
主に細菌に汚染された食べ物から感染して起こる腸炎。
食後に激しい下痢や嘔吐、腹痛が起こったときや、血便が出たときは、感染の可能性が高くなります。
原因となる細菌にはたくさんの種類がありますが、中でも代表的な細菌は「サルモネラ菌」「カンピロバクター菌」「腸管出血性大腸菌」「腸炎ビブリオ」です。
●サルモネラ菌
食中毒の原因の半数を占める代表的な細菌。卵や卵の加工品、乳製品に発生しやすく、12~24時間で嘔吐、激しい下痢、発熱などの症状が出ます。けいれんや意識障害が起こることもあります。
●カンピロバクター菌
牛、豚、鶏、猫などの消化器官やふんにいて、食べたり、触った手を介して口から体内に入ります(とくに鶏肉)。潜伏期間は3~10日間。
主な症状は、高熱、激しい腹痛、血液をふくんだ下痢便が1日に何回も出ます。
●腸管出血性大腸菌
O-157に代表される菌。食べ物だけでなく人から人へも感染します。2~7日で発症し、下痢、激しい腹痛、発熱、倦怠感のあと、大量の鮮血便が見られます。
乳児期は急性腎不全や急性脳症を起こし、死亡する危険性もあります。
●腸炎ビブリオ
夏に魚介類の内臓、エラなどに付着する細菌。魚を生で食べたり、調理した包丁を介して別の食材に付着し、それを食べることで発症します。
食べて12時間前後で激しい腹痛と嘔吐などの症状が出ます。
赤ちゃんの細菌性腸炎・食中毒 治療&ホームケア
症状が見られたらすぐに受診します。細菌をすべて体外に出すため、下痢がひどくても下痢止めは使わず、主に整腸薬で治療します。
下痢が長期化するときは、下痢止めや乳糖分解酵素を処方することがあります。細菌の種類によっては抗菌薬を服用します。
水分が失われやすいので、こまめに水分補給をしましょう。
予防のために、食品をよく加熱し、調理器具は熱湯消毒をするなどして衛生管理に努めましょう。月齢や発達に合った食材を与えることも大切です。
また、哺乳びんやおもちゃなど、赤ちゃんが口にする物はしっかり除菌をしましょう。
代表的な薬
・整腸薬(ビオフェルミン、ラックビーなど)
・抗菌薬(ホスミシンなど)
細菌性腸炎の予防のポイント
・調理器具は殺菌衝動する
・食べものはよく加熱する
・冷蔵庫の中は定期的に掃除する
・外出したあとやペットを触ったあとはしっかり手を洗う
●イラスト/ヌガトモコ
■赤ちゃん おなかの病気
・ウイルス性胃腸炎・乳児下痢症
・細菌性腸炎・食中毒
・腸重積症
・肥厚性幽門狭窄症
・胃食道逆流症
・胆道閉鎖症
・先天性胆道拡張症
・鼠径ヘルニア・脱腸
・臍ヘルニア
・臍炎・臍肉芽腫
■ママ・パパが気になる!赤ちゃん おなかの症状
・乳糖不耐症
・単一症候性下痢
・腸管リンパ濾胞過形成
・レンガ色の尿
・生理的嘔吐
・生理的便秘
※表記している、月齢・年齢、季節、症状の様子などはあくまで一般的な目安です。
※この情報は、2019年4月のものです。