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小児科医に聞いた 定期接種と任意接種のこと 日本の予防接種の現状

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日本の予防接種には定期接種と任意接種があり、この2つにはどんな違いがあるのか、疑問に思うママやパパもいるでしょう。日本の予防接種の現状を踏まえ、予防接種の受け方について、小児科医で国立感染症研究所・感染症疫学センター第3室(予防接種室)室長の多屋馨子先生に教えてもらいました。

日本の予防接種は先進国の中で遅れている

日本の子どもが受けられる予防接種はここ数年で増えてきています。ママやパパにしたら「こんなに予防接種の種類があるの?」と驚くかもしれません。でも実は、ほかの先進国ではもっとたくさんの予防接種を受けることができるんです。日本の予防接種の実情について知っておきましょう。

残念ながら予防接種に関して日本は先進国の中で遅れています。ほかの先進国では公費(国や自治体のお金、あるいは健康保険)で受けられるワクチンであっても、日本では全額自費、もしくは一部自費で受けなければいけないものがあります。また、先進国には五種混合、六種混合のワクチンもあり、一度に多くのワクチンを接種して、短期間で終了させます。そのため、通院回数を減らすことができます。
日本で接種できるワクチンは増えてきていますが、WHO(世界保健機関)が定期接種に推奨しているおたふくかぜや、就学前や思春期の 3種混合ワクチンの追加接種は任意接種のまま。また、2013年に定期接種となったHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンは、接種開始の2ヶ月後に積極的な接種勧奨の差し控えが起こり、現在に至っています。
このように、日本の予防接種には多くの課題が残っています。これは先進国として大変不名誉なことです。

先進国では混合ワクチンが一般的です

日本にも、四種混合のDPT-IPV(ジフテリア、百日せき、破傷風、不活化ポリオの混合)ワクチンや、三種混合のDPT(ジフテリア、百日せき、破傷風の混合)ワクチン、二種混合のDT(ジフテリア、破傷風の混合)ワクチン、MR(麻疹・風疹の混合)ワクチンがあります。でも、ほかの先進国ではさらに多くの種類を一度に接種できる混合ワクチンが一般的です。混合ワクチンなら1回の注射で多くの種類を接種することが可能ですが、日本では製造販売が承認されている混合ワクチンの種類が少ないのが現状です。

<ほかの先進国で使われている混合ワクチン>
・MMR(麻疹・風疹・おたふくかぜ)
・MMRV(麻疹、風疹、おたふくかぜ、水痘)
・DPT-Hib-HB-IPV(ジフテリア、百日せき、破傷風、ヒブ、B型肝炎、不活化ポリオ)

日本の小児が受けられるワクチンの種類

赤ちゃんや子どもは大人よりも免疫力が低いので、感染症にかかると重症化しやすく、治療が難しかったり、重い後遺症が残ったりして、最悪は命を落とすこともあります。
予防接種は、病原体から作ったワクチンを体内に入れ、免疫を作ることで感染症を予防する方法。赤ちゃんを感染症から守るには、予防接種を受けることが欠かせないのです。

<日本の小児が受けられるワクチン>
・ヒブワクチン(Hib、インフルエンザ菌b型)…2ヶ月から接種可能、0~1才で4回接種
・肺炎球菌(13価結合型)…2ヶ月から接種可能、0~1才で4回接種
・B型肝炎ワクチン…0ヶ月から接種可能(2ヶ月以降の接種が標準、3回接種)
・ロタウイルスワクチン…6週から接種可能(2ヶ月からの接種が標準、なお1回目は出生14週6日後までに、2回または3回接種:ワクチンの種類によって回数が異なる)
・四種混合(DPT-IPV)ワクチン…3ヶ月から接種可能、0~1才で4回接種
・BCGワクチン…0ヶ月から接種可能(5~7ヶ月の接種が標準、1回接種)
・MR(麻疹・風疹混合)ワクチン…1才から接種可能(1才すぐと小学校入学前1年間の2回接種)
・水痘(水ぼうそう)ワクチン…1才から接種可能(1~2才で2回接種)
・おたふくかぜワクチン…1才から接種可能(1才すぐと小学校入学前1年間の2回接種)
・日本脳炎ワクチン…6ヶ月から接種可能(3才からの接種が標準)、3~4才で3回接種、9才で1回追加
・二種混合(DT)ワクチン:11~12才で1回接種
・HPV(ヒトパピローマウイルスワクチン)…定期接種の対象は小学校6年生~高校1年生の女子(中学1年生の女子が標準、3回接種)
・インフルエンザワクチン…6ヶ月から接種可能、1シーズンに2回接種

【下記のワクチンも小児で接種可能ですが、接種するのは特別な場合とされています】
・A型肝炎ワクチン…0才から接種可能(1才以降の接種が標準、3回接種)
・髄膜炎菌ワクチン…2才から接種可能(1回接種)
・黄熱ワクチン…9ヶ月から接種可能(1回接種で生涯有効)
・狂犬病ワクチン…0才から接種可能(曝露前※1:3回接種、曝露後※2:4回、5回、6回接種のいずれか、ワクチンの種類によって異なる)

※1狂犬病に感染した動物にかまれたりする前に予防としてワクチンを接種
※2狂犬病に感染した動物にかまれたりしたあと、狂犬病が発症するのを抑えるためにワクチンを接種

定期接種と任意接種について

予防接種には、予防接種法に基づいて公費で実施される「定期接種」と、自己負担で行われる「任意接種」があります。「任意接種」に公費補助をしている自治体もあるので、居住地の市区町村に問い合わせてください。
日本では以下のように区分されています。

<小児が定期接種で受けられるワクチンの種類>
・ヒブ(Hib、インフルエンザ菌b型)
・肺炎球菌(13価結合型)
・B型肝炎
・ロタウイルス(2020年10月1日から、2020年8月1日以降に生まれた子どもを対象に定期接種)
・四種混合(DPT-IPV)
・三種混合(DPT)
・二種混合(DT)
・不活化ポリオ(IPV)
・BCG
・麻疹・風疹混合(MR)
・麻疹
・風疹
・水痘
・日本脳炎
・ヒトパピローマウイルス(HPV)
(注意) 定められた期間内に接種しないと公費では受けられなくなります

<小児が任意接種で受けられるワクチンの種類>
・おたふくかぜ
・インフルエンザ
・A型肝炎
・髄膜炎菌
・黄熱
・狂犬病
・破傷風
・ジフテリア
・肺炎球菌(23価莢膜ポリサッカライド)

予防接種法が制定されたころ、感染症対策で重要度の高いものが定期接種と定められました。しかし、任意接種も定期接種と同じように大切なもので、「定期接種だけ受けておけばいい」と考えるのは大きな間違いです。海外に行くときに受ける必要があるワクチンもこの中には含まれています。任意接種は自費になってしまいます(自治体によって対応が違うので確認してください)。

任意接種の中にも赤ちゃんを守るために有益なものがあります

任意接種のワクチンの費用は安いものではないので、「家計の負担になるから…」と受けないことを選択するママやパパも少なくありません。
でも、予防接種を受けずにその感染症にかかった場合、病気にかかって苦しそうにしている赤ちゃん・子どもを見たり、お世話をしたりするのは、親としてとてもつらいですよね。
しかも、幼児医療費補助だけではまかなえない、通院や入院にかかる医療費、交通費、ママやパパが仕事を休んでつき添うための損失など、経済的負担もかなり大きなものになると思われます。それは、任意接種のワクチン代とは比べものにならないでしょう。
さまざまな面から考えて、必要な任意接種は受けましょう。

ほかの先進国と比べて日本の予防接種は、少し遅れていることがわかりました。そんな日本で暮らす私たちだからこそ、1人ひとりがきちんと予防接種を受けて感染症の予防に努めれば、予防接種の効果が認識され、予防接種事情が変わっていく可能性があります。定期接種・任意接種という区分にこだわらず、赤ちゃん・子どもが接種を奨励される月齢や年齢になったら、順次予防接種を受けるようにしましょう。

情報提供/多屋馨子先生 取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

多屋馨子先生(たやけいこ)

Profile
国立感染症研究所 感染症疫学センター 第三室(予防接種室)室長。小児科医。高知医科大学(現 高知大学医学部)卒業。大阪大学医学部小児科講座に入局し、大阪大学医学部附属病院・関連病院小児科、大阪大学医学部微生物学講座・小児科学講座で小児科の臨床、ヘルペスウイルスを中心とした基礎研究、小児感染症学の教育に従事。2001年から国立感染症研究所感染症情報センター主任研究官。02年から国立感染症研究所感染症情報センター第三室(予防接種室)室長。13年から現職。

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