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水痘ワクチン/免疫がないとほぼ100%感染して発症してしまう水痘(水ぼうそう)を予防する

水痘ワクチン

水痘(水ぼうそう)は感染力が強く、免疫がない人の大半は感染して発症し、重症化すると命を落とすこともある病気です。しかもママからの免疫は期待できないので、ワクチンが非常に重要になります。そんな水痘ワクチンの受け方、受ける時期、副反応など、予防接種を受ける前に知っておきたい基礎知識と、水痘の症状や合併症・後遺症、現在の発症状況などについて、小児科医で国立感染症研究所・感染症疫学センター第三室(予防接種室)室長の多屋馨子先生に、解説してもらいました。

水痘ワクチンは、ママからの免疫が期待できない水痘(水ぼうそう)を防ぐ

・定期接種
・生ワクチン
・皮下注射

水痘(水ぼうそう)は、水痘・帯状疱疹ウイルスの空気感染、飛沫感染、接触感染で発症する、感染力が強い病気。帯状疱疹を発症している大人からウイルスがうつり、水痘(水ぼうそう)を発症することもあります。
ママからの免疫はほぼ期待できず、免疫がない人はほぼ100%かかります。
1回の予防接種だと、軽症で済むものの約2割は発症しますが、2回受ければ、発症する可能性はかなり低くなり、かかっても軽く済みます。地域の流行状況を見ながら、予防接種のスケジュールを立てましょう。
また、「水痘がうつったかも」と思った場合、接触後72時間以内にワクチンを接種すると、発症せずに済んだり、軽症で済んだりする可能性があります。

【予防接種の受け方と時期は?】1才になったら接種を。2回の接種で確実に免疫をつけます

1回の接種で水痘への感染リスクはかなり減らせますが、2回目も必ず受け、ワクチンの効果を確実なものにしてください。

1回目…1才になったらMRワクチンと同時にできるだけ早く受けましょう。
おたふくかぜワクチンとの同時接種もできます。

2回目…2才になる前がおすすめ
 ※地域での流行状況にもよるため、かかりつけの小児科医に相談を。

【効果の持続期間は?】2回接種することで長期間免疫が持続します

効果は長期間持続することがわかっています。2回接種すればより確実に免疫がつきます。

【副反応は?】ほとんどないけれど、まれに発疹やじんましんが出ることがあります

まれに発疹、じんましんなどが出ることがありますが、水痘(水ぼうそう)に感染すると重症化しやすい白血病の子どもが接種しても安全なくらい弱毒化したワクチンのため、副反応はほとんどありません。

水痘(水ほうぞう)はどんな病気?

・かかりやすい季節は?…秋~春
・かかりやすい年齢・月齢は?…6ヶ月~4才
・主な症状は?…全身の水疱、発熱、かゆみ
・感染力は?…非常に強い
・ママからの移行免疫は?…期待できません

水痘・帯状疱疹ウイルスの飛沫感染や空気感染、接触感染で感染する病気で、免疫がないとほぼ100%感染し、水痘を発症してしまいます。
皮膚から細菌の二次感染を起こして、膿痂疹(のうかしん)※1や蜂窩織炎(ほうかしきえん)※2、敗血症※2などになることがあります。まれに心膜炎、小脳炎、髄膜脳炎などの合併症を起こすことがあり、合併症が重症化すると死亡することもあります。とくに0才代後半、15才以上、免疫不全の人、妊婦は重症化しやすいので注意が必要です。

※1膿痂疹:黄色ブドウ球菌、化膿レンサ球菌による皮膚感染症。黄色いかさぶたを伴ったびらんができるほか、黄色い液体が詰まった小さな水疱ができることがあります。
※2蜂窩織炎:皮膚とその下にある皮下組織に細菌が入り込む皮膚感染症。皮膚が赤く腫れて、熱感や痛みを伴います。ひどくなると壊死性筋膜炎になることもあり注意が必要です。
※3敗血症:感染症による炎症が全身に広がり、臓器障害が起きて重篤になった状態。

【症状・経過は?】かゆみの強い発疹が体中に広がります

2週間の潜伏期間のあと、かゆみのある赤い発疹が体中に出て、水疱からかさぶたになり、10日前後で治ります。発疹が出て48時間以内に抗ウイルス薬の服用を開始すると、症状が軽く済みます。
学校感染症に指定されており、すべての水疱がかさぶたになるまでは人にうつる可能性があるため、保育園・幼稚園、小学校などには登園(校)できない決まりになっています。学校を休んでも欠席扱いにはなりません。

【合併症・後遺症は?】合併症が重症化すると、死亡することがあります

●合併症
ほとんどが軽症で合併症を起こしませんが、まれに熱性けいれん、肺炎、気管支炎、肝炎、皮膚の細菌感染症、心膜炎、小脳炎、髄膜脳炎などの合併症を起こし、死亡することもあります。免疫抑制状態の人が発症すると、激しい腰や背中の痛みや腹痛から始まり、発疹が出たときには既に重篤な状態となり、抗ウイルス薬を使っても命にかかわる重症の水痘になることがあります。
また、このウイルスに感染すると、一生脊髄の神経節や脳神経節に潜伏感染しているので、将来、高齢になったり、免疫力が落ちたときに、帯状疱疹を発症することもあります。

●後遺症
ほとんど後遺症は残りませんが、まれに髄膜脳炎や小脳炎などの合併症が重症化して、難聴、てんかん、手足のまひ、神経・運動・知能の遅れなどが残ることがあります。

【患者数・罹患率は?】定期接種化により、過去10年で最も少ない患者数で推移

感染症を定期的にチェックしている全国3000カ所の小児科定点医療機関からの報告によると、ワクチンが任意接種だった時代は毎年約100万人が発症し、約4000人が重症化し、10人前後が死亡していました。
しかし、2014年10月の定期接種化によって定期接種対象年齢を中心とした患者数が減少しており、患者数は過去10年間で最も少ない数で推移しています。

ママからの免疫は期待できず、免疫のない人はほぼ100%かかるといわれる水痘(水ぼうそう)から子どもを守るには、予防接種を2回受けてしっかりと免疫をつけるしか方法はありません。1才のお誕生日を迎えたらできるだけ早く接種できるように、スケジュールを立てましょう。


情報提供/多屋馨子先生 取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

多屋馨子先生(たやけいこ)

Profile
国立感染症研究所 感染症疫学センター 第三室(予防接種室)室長。小児科医。高知医科大学(現 高知大学医学部)卒業。大阪大学医学部小児科講座に入局し、大阪大学医学部附属病院・関連病院小児科、大阪大学医学部微生物学講座・小児科学講座で小児科の臨床、ヘルペスウイルスを中心とした基礎研究、小児感染症学の教育に従事。2001年から国立感染症研究所感染症情報センター主任研究官。02年から国立感染症研究所感染症情報センター第三室(予防接種室)室長。13年から現職。

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