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予防接種とワクチンの大切な役割・予防接種の歴史について知ろう

予防接種とワクチンの役割

予防接種は赤ちゃん・子どもの命を守るために非常に大切なものだから、予防接種とワクチンについてきちんと理解しておく必要があります。まずは、最も基本的な予防接種とワクチンの役割、歴史について知ることから始めましょう。小児科医で国立感染症研究所・感染症疫学センター第三室(予防接種室)室長の多屋馨子先生に教えてもらいました。

【予防接種はどうして必要なの?】1人ひとりの命と社会を守るため

「小さな赤ちゃんにたくさんのワクチンを接種して大丈夫なの?」と心配しているママやパパはいませんか。予防接種がどうして必要なのかについて考えてみましょう。
予防接種には2つの大きな役割があります。

予防接種は感染症に対する免疫を作り、重症化を防ぎます

予防接種に用いるワクチンは、毒性や病原性を弱めたり、なくしたりした病原体から作られます。ワクチンには、生きた病原体の病原性を極力弱めて作った「生ワクチン」と、病原体を殺して必要な成分を取りだした「不活化ワクチン」があります。どちらも接種することで病気に対する免疫システムを作り、細菌やウイルスの感染症から体を守って重症化を防ぎます。
感染症の中には赤ちゃん・子どもがかかると重症化しやすいもの、重い後遺症をもたらすもの、さらには死に至らしめるものがあります。赤ちゃん・子どもに予防接種を受けさせ、恐ろしい感染症にかかる確率を減らしてあげること、または、かかっても軽症で済むようにしてあげることが重要です。

赤ちゃん・子ども個人だけでなく、世界全体を感染症から守るためにも必要なものです

赤ちゃんはママから免疫をもらって生まれてきますが、もらえる免疫はすべてではありません。また、もらってきた免疫も、出生後の時間の経過とともに徐々に失われていきます。そのため、赤ちゃん・子どもを感染症から守るために予防接種が必要不可欠になるのです。
さらに予防接種には、個人の予防だけでなく、まわりの人たちにも感染させない効果や、薬が効かない耐性菌による重症の感染症を防ぐ効果もあります。接種する人が多くなればなるほど、その病気にかかる人は減ります。
つまり、予防接種には恐ろしい感染症を世の中から根絶させられるものもあり、人類にとってとても大切なものなのです。

【ワクチンで根絶できた病気はあるの?】人類の歴史で唯一根絶できたのは「天然痘」

天然痘は1977年に最後の患者が出たあと、1980年5月8日にWHO(世界保健機関)が天然痘の根絶宣言を行いました。今のところ、ワクチンによって根絶した唯一の感染症です。
天然痘を根絶できたのは、ほかの動物を介して感染が広がらない(感染源はヒトのみ)、感染しても目に見える症状がない「不顕性感染」がない、発症前に感染源にならない、といったウイルスの特性に加え、有効なワクチンが開発され、ワクチン接種率が非常に高かったことが理由に挙げられます。

ワクチンによって根絶が可能と考えられている感染症は、ほかにポリオと麻疹(はしか)が挙げられています。実際、1988年には世界で約35万人いたポリオ患者は2019年には173人(報告数)まで減りました。野生株ポリオウイルスのうち、2015年に2型、2019年に3型が根絶され、現在1型のみが残っています。しかし、ワクチン由来ポリオウイルスがアフリカやアジアの国々で広がり、まだ根絶には至っていません。
麻疹は2回の予防接種率をそれぞれ95%まで引き上げられたら排除が可能と考えられています。
しかし、まだ世界には麻疹が流行している国がたくさんあります。近年、ワクチン接種率が下がってきていることも問題となっています。

【予防接種はどうして生まれたの?】危険な感染症から人類を守るためです

赤ちゃん・子どもに予防接種を受けさせることの意義と重要性について理解できたと思います。予防接種への理解をさらに深めるために、予防接種が生まれた経緯と日本での歴史についても知っておきましょう。

天然痘を予防するための「牛痘」を接種したのが予防接種の始まり

天然痘ウイルスに感染することで発症する天然痘は、致死率が20~50%という恐ろしい感染症で、18~19世紀に全世界で猛威を振るいました。
天然痘は軽くかかれば二度とかからないことが知られていたため、天然痘患者の膿を健康な人の皮膚や鼻の穴などに接種し、軽く感染を起こさせる「人痘法」が行われるようになりました。しかしこの方法は死亡が10%もあり、とても安全な方法とは言えませんでした。
一方、天然痘に似た症状が牛に起こる「牛痘」という病気があり、牛痘に感染した人は、天然痘に似た症状が現れるけれど軽く済み、その後、天然痘にかからなくなることが知られていました。
これに注目したのが、イギリスの医師エドワード・ジェンナーです。牛痘患者の病巣から採取した液を、健康な人の腕に傷をつけて植えつけると、重い天然痘になることを防げるという研究成果を発表。これが予防接種の始まりといわれています。

予防接種に使う薬剤の名称「vaccine(ワクチン)」の語源はラテン語で、牛痘のもとになった雌牛(vacca)と薬剤「ine」を合わせたものです。ジェンナーの功績をたたえて名づけられました。

日本の予防接種の歴史について

日本では1790(寛政2)年に、天然痘予防のために前述の「人痘法」を取り入れました。これが、日本における予防接種の始まりとされています。しかしそれ以降、予防接種の種類が増えることはありませんでした。
ずっと時代が下り、ようやく結核を予防するBCGの集団接種が始まったのは1942年のこと。そして1948年に予防接種法が成立し、痘そう(天然痘)、ジフテリア、腸チフス、パラチフス、百日せき、結核、発疹チフス、ペスト、コレラ、しょう紅熱、インフルエンザ、ワイル病などの予防接種が始まりました。
その後、予防接種法の改定が何度も行われ、予防接種の対象となる感染症は時代によって変わっていきます。しかし、「かかると死亡したり重い後遺症が残ったりする危険な感染症を防ぐ」という予防接種の目的は、昔も今も変わっていません。

予防接種には長い歴史があり、時代によって方法や対象となる病気は変わってきました。しかし、「大切な赤ちゃん・子どもの命と、社会全体を感染症から守る」という予防接種の役割は、予防接種の開始当初から変わりません。必要な予防接種を適切な時期に受けさせる、それは親の大切な役目であり、ママとパパから赤ちゃんに送る大切なプレゼント。そのことを忘れないでください。

情報提供/多屋馨子先生 取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

多屋馨子先生(たやけいこ)

Profile
国立感染症研究所 感染症疫学センター 第三室(予防接種室)室長。小児科医。高知医科大学(現 高知大学医学部)卒業。大阪大学医学部小児科講座に入局し、大阪大学医学部附属病院・関連病院小児科、大阪大学医学部微生物学講座・小児科学講座で小児科の臨床、ヘルペスウイルスを中心とした基礎研究、小児感染症学の教育に従事。2001年から国立感染症研究所感染症情報センター主任研究官。02年から国立感染症研究所感染症情報センター第三室(予防接種室)室長。13年から現職。

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