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おたふくかぜワクチン/おたふくかぜが原因の治療困難な難聴などの後遺症を予防できる

おたふくかぜワクチン

日本では毎年数十万人が感染するといわれるおたふくかぜ。後遺症のムンプス難聴で苦しむ子どもは、決して少なくありません。おたふくかぜワクチンの受け方や副反応など予防接種に関する基礎知識と、おたふくかぜの症状、合併症・後遺症、最近の感染状況などについて、小児科医で国立感染症研究所・感染症疫学センター第3室(予防接種室)室長の多屋馨子先生に、解説してもらいました。

おたふくかぜワクチンはおたふくかぜから赤ちゃんを守り、後遺症の難聴も防ぐ

・任意接種
・生ワクチン
・皮下注射

おたふくかぜは「かぜ」という名称がついていることから軽く見られ、「かかったほうが免疫がしっかりついていい」と考える人がいますが、それは大間違い。おたふくかぜを発症すると、回復がほぼ見込めないムンプス難聴になったり、無菌性髄膜炎や脳炎を併発したりすることがあるからです。予防接種をしても1割弱の人はかかるとされていますが、接種していれば症状が軽く済み、後遺症などを防ぐことができます。
1才から接種可能なので、地域の流行状況を参考にして、とくに集団生活をする予定がある場合は、その前に接種しておくようにしましょう。
任意接種ですが、自治体によっては費用を一部負担してくれることもあるので、確認してみてください。

【予防接種の受け方と時期は?】1才になったら受け、就学前に2回目を受けましょう

1才以降に接種できます。2回接種するとしっかり免疫をつけることができます。

1回目…1才になったら、MRワクチンの次にできるだけ早くに接種しましょう。
MR、水痘(水ぼうそう)ワクチンなどと同時接種もできます。

2回目…就学前の年にMRワクチンのⅡ期と同時接種するのがおすすめです。
 *地域の流行状況にもよるため、かかりつけの小児科医に相談を。

【効果の持続期間は?】2回の接種で十分な免疫が保たれます

1回の接種で95%程度免疫がつくとされていますが、時間の経過とともに効果が低下します。人によって効果の持続期間が異なるので、免疫が十分に保たれるように2回接種をしておきましょう。
なお、予防接種を受けても1割弱の人はかかることはあるので、地域で流行しているときは油断しないでください。

【副反応は?】接種2~3週間後に嘔吐や発熱が見られたら受診して

接種2~3週間後に、発熱したり、耳の下が赤く腫れたりすることがありますが、いずれも数日で収まる軽いものです。
千数百人~二千数百人に1人の割合で無菌性髄膜炎を起こすことがあります。接種2~3週間後に嘔吐、発熱、機嫌が悪いなどの症状が続いたら、予防接種を受けた病院をすぐに受診してください。大半は1~2週間で治ります。

おたふくかぜはどんな病気?

・かかりやすい季節は?…春~夏
・かかりやすい年齢・月齢は?…幼稚園から小学校の低学年年齢の子ども
・主な症状は?…発熱、耳下腺の腫れ
・感染力は?…強い
・ママからの移行免疫は?…6ヶ月ごろまで有効

ムンプスウイルスが原因の感染症。飛沫感染・接触感染で広がります。感染しても発症しないことがあり、感染しているのに気づかず人にうつしてしまうこともあります。
感染症発生動向調査によると、おたふくかぜの報告年齢は5~6才、3~4才、7~8才の順で多く、8才以下で全報告数の80%を占めています。これは、保育園や幼稚園などの集団生活で感染する機会が増えるからだと考えられます。
また、集団生活でおたふくかぜに感染した子どもから、ママやパパなどの家族にうつる二次感染も増えています。

【症状・経過は?】耳下腺や顎下腺の腫れと痛みが特徴。多くは軽症で済みます

約3週間の潜伏期間を経て、発熱、耳下腺(じかせん)や顎下腺(がっかせん)の腫れが現れます。発熱は3~6日ほど続き、腫れや痛みは発症後1~3日がピークで、その後3~7日かけて消えていきます。痛みのために、食べたり飲んだりすることができなくなることがあります。
特効薬はありません。

【合併症・後遺症は?】聴力の回復がほぼ見込めないムンプス難聴になることがあります

●合併症
10~20人に1人の割合で無菌性髄膜炎を起こし、まれに膵炎や髄膜脳炎を併発することもあります。髄膜脳炎は重症なので、命が危ぶまれることに。思春期以降に感染すると、精巣炎や卵巣炎を起こすこともあります。

●後遺症
おたふくかぜを発症した人の0.01~0.5%に聴力障害が起こり、重度の難聴(ムンプス難聴)になります。ムンプス難聴はほぼ治る見込みがありません。多くは片耳ですが、両耳が難聴になることもあります。

【患者数・罹患率は?】毎年数十万人が発病しています

年間のおたふくかぜ患者の報告は、感染症を定期的にチェックしている全国3000カ所の小児科定点医療機関からの報告だけでも、毎年6~25万人います。日本は先進国とは思えないほどおたふくかぜの感染者が多い国なのです。それはワクチン接種率の低さが原因です。
多くの国では、おたふくかぜワクチンを定期接種で2回受けているので、流行はあまりありません。
こうした日本の状況から、小児科医だけでなく耳鼻咽喉科医も、おたふくかぜワクチンの定期接種化を提言しています。

日本は先進国とは思えないほどおたふくかぜの感染者が多く、後遺症のムンプス難聴が問題になっています。おたふくかぜに自然感染すると、子どもの将来に大きなダメージを与えるリスクがあるのです。任意接種ではありますが、1才と就学前に2回接種を受けるようにしましょう。

情報提供/多屋馨子先生 取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

多屋馨子先生(たやけいこ)

Profile
国立感染症研究所 感染症疫学センター 第三室(予防接種室)室長。小児科医。高知医科大学(現 高知大学医学部)卒業。大阪大学医学部小児科講座に入局し、大阪大学医学部附属病院・関連病院小児科、大阪大学医学部微生物学講座・小児科学講座で小児科の臨床、ヘルペスウイルスを中心とした基礎研究、小児感染症学の教育に従事。2001年から国立感染症研究所感染症情報センター主任研究官。02年から国立感染症研究所感染症情報センター第三室(予防接種室)室長。13年から現職。

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