どっちに通う?スイミング教室と体操教室のメリットとデメリット
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子どもがすくすくと安心して育つ環境を整え、
無理なくいろいろな経験をさせることで体や脳は発達します。
人生の基礎となる幼児期は特に大事な時期と言えるでしょう。
この時期は新しいスポンジのように学習したことをすっと吸収します。
親が与えきれない専門的なスキルは、専門家に委ねることが大事です。
つまり、習い事ですね。
運動系の幼児期の習い事で人気なのはスイミングと体操です。
さて、どっちを選べばよいのか迷うところです。
それぞれのメリットとデメリットを聞きました。
監修:健康運動指導士・日本体育協会公認水泳指導員 石本工
保健体育教員として30年余の勤務の後、さらに多くの人々の健康づくりに携わるべく、活動の幅を広げている。
子どもの体力向上、運動能力向上の指導を行う。
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5歳児の運動発達の特徴
子どもの発達には多少の個人差はありますが、おおむねみんな同じような順序で発達していき大人になります。
身長や体重などはお子さんを日々見てわかるようにだんだんと大きくなっていきますね。
でも目に見えない神経系や筋力、心肺機能などは一定の時期に集中して発達するのです。
神経系の発達は生まれた直後からめざましく発達し、5歳くらいでほぼ大人の80%にまで出来上がります。
そして10歳くらいで100%に近づきます。
つまり5歳から10歳位までが神経系の発達のラストスパート、仕上げの段階というわけですね。
特にこの時期は自分の体を思った通りにコントロールする能力が発達します。俗に「運動神経」と呼ばれる能力です。
このときに様々な動きを経験することで神経回路が出来上がっていくのです。
「体が覚えている」とはよく言われる表現ですが、例えば自転車乗りのように、この時期に覚えた運動能力は一生忘れません。
5歳から10歳位までの時期に身につけた身体をコントロールする能力をさらに統合して、より高度に進化させるのが小学校高学年から中学生の時期です。
専門的なスポーツ技術を習得するのに適しています。
逆に言えば、幼児期の運動神経系の発達が十分にできていないのに中学生から本格的な部活動などを始めても苦労する、ということですね。
また、筋力と心肺機能が著しく発達するのは思春期以降なので、幼児期には高重量を持ち上げるような筋トレや、息を切らして走り込むようなマラソントレーニングは適しません。
体操教室のメリット・デメリット
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ではまず体操教室に通うメリットデメリットか見ていきましょう。
子どもの体操教室のメリット
体操とは、その字の通り体を操る、ということ。
体操教室では主にマット、跳び箱、鉄棒などの器具を使って行います。転がる、逆さまになる、支える、ぶら下がる、など、日常生活ではなかなか経験できない動きを練習することで全身を上手にコントロールする力を養います。
運動の神経系の発達の仕上げの時期に取り組むには最適だと言えます。
マット運動、跳び箱、鉄棒は小学校の体育でも行います。このときにうまくできないと運動嫌いになり、それは一生のライフスタイルに影響を与えかねません。
体育に苦手意識を持たないためにも就学前に経験しておくとよいですね。
体操教室の各種目は、課題がやさしいものから難しいものまで段階的に設定されています。それぞれの技を練習して、できた!という達成感や喜びを味わうことができます。
体操競技の内村選手や白井選手など一流選手が幼い頃から練習を重ねてきたことは有名です。このように専門的な選手育成コースがあるスクールもあります。
体操教室のデメリット
体操教室のデメリットは、ケガをすることもあるかも・・?ということです。もちろん専門のスタッフが怪我の防止に努めて指導をしてくれるので心配はないのですが、尻もちや軽い打撲や捻挫くらいはあると思っていたほうがよいでしょう。
体操教室の会費
体操教室の会費は、おおむね月4000円~8000円/週1回です。この他にユニフォーム代、保険料や教材費がかかる場合もあります。
体操教室の内容
体操教室の指導内容は、マット、跳び箱、鉄棒が中心です。その他にトランポリン、なわとびやボール運動などもとりいれている教室もあります。このマット、跳び箱、鉄棒以外のその他の種目でその教室の独自性を出しているようです。
なるべく多くの身体の使い方を学ぶということが大事なので、その他の種目が充実している方が良いですね。
また、運営が大手フィットネスクラブから小規模な教室まで様々で、施設や設備の規模に違いがあります。
実際に見学やお子様に体験をさせてみて決めると良いですね。
スイミング教室のメリット・デメリット
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続いて、スイミング教室に通うメリットデメリットについて考えます。
子どものスイミング教室のメリット
水泳は、水の浮力と抵抗により、全身の筋力や心肺機能を高めていきます。水泳を身につければ無理のない全身運動として一生楽しむことができます。
また、「泳げる」ということは水難事故を防ぐためにも大事です。幼児期のうちに身につけるべき運動ですね。この時期に泳げるようになると一生忘れません。
また、水泳は関節や筋肉に強い衝撃や負荷がかかることはなく、ケガをしにくい運動です。
水の中の世界は、日常生活とは異なる不思議な世界です。水の中で見える景色やごぼごぼっという音はあたかも自分が魚になったようであり、子どもの感性を高めます。
また、浮力で体が浮き上がる感覚は決して陸上では味わえないものです。潜ったり、浮かんだり、水をかいて進んだり・・・これらの経験はやボディーコントロールの力を高めます。
また、水中で息をこらえるという呼吸のコントロールは呼吸器管を強くするので、風邪をひきにくくなったり、喘息が軽快したりすることもあるようです。
水慣れからはじまり、泳法を習得したあとは、タイムや距離を伸ばすという数値目標になります。何m泳げた!、タイムが良くなった!という目標は子どもにとってわかりやすいです。
子どものスイミング教室のデメリット
スイミング教室のデメリットは、皮膚への刺激が強いということです。プールは塩素殺菌されています。アトピー性皮膚炎等皮膚に疾患があったり、皮膚が弱いお子さんの場合は気をつけなければなりません。また、眼や耳に疾患がある場合も入水できるかどうか医師の診断を仰いでください。
子どものスイミング教室の会費
スイミング教室の会費はおおむね月7000円前後/週1回です。この他に水着や浮具代、保険料がかかる場合もあります。
子どものスイミング教室の内容
まずは水に慣れ、怖がらずに水泳を習得できるようなレッスンから始めます。浮く、潜るなど陸上では経験できない運動を無理なく行い、その後、クロールなど各種泳法の習得につなげていくカリキュラムです。水泳指導方法はかなり確立されているのでどこの教室のカリキュラムもにあまり差異はありません。しかし、より楽しい指導を重視したり、選手育成につながるような泳法指導を重視したり、クラスの人数や指導の雰囲気などに特色はあるようです。見学や体験をして決めることをオススメします。
どっちに通う?選ぶときのポイント
水泳と体操は運動の種類が違います。予算や時間等の制約がなければどちらも経験させることが子どもの発達のためには効果的です。
どちらか、またはどちらも選ぶにしても、以下のポイントを参考にしてください。
通うのに無理がないこと
スイミングも体操も、どちらも運動量は十分です。レッスンが終わればぐったりと疲れることと思います。なるべく早く家に帰って食事したり休養したりすることが大事です。
自宅から通うのに無理のないアクセスにある教室を選びましょう。
子どもの意思を尊重する
スイミングか体操か、見学や体験レッスンをやってから、どちらをやりたいかお子さんに聞いてみましょう。決定の条件は多岐にわたるのでもちろん最終判断は親が決めるのですが、子どもに意思を尊重することも大事です。自分で決めた、ということでお子さんのやる気も上がります。しかし諸条件により子どもの意思と異なる決定をする場合もあることでしょう。その場合は子どもにその理由を説明し、それでも子どもがやる気を出すようなプレゼンテーションをしっかりしてあげてください。
他のプログラムや行事も参考に
大手の会社が運営する教室の場合、スイミングや体操に限らず、他のキッズ向け教室やキャンプ、スキーなど夏季や冬季のイベントへの優待などが充実しているところもあります。それも参考に選択するのも良いですね。
長期の見通しを持つ
スイミングにしても体操にしてもせっかく始めたのなら数年は続けたいものです。続けるうちに子どもの適性もわかってきます。
運動神経系がほぼ完成する10歳までと言いたいところですが、小学校高学年になると小学校の授業も難しくなり、やるべき課題も多くなって子どもの負担も増えてきます。
せめて小学校低学年までは続けてみるという見通しをもちましょう。
指導者と教室全体の雰囲気
どんなによいカリキュラムがあっても、それを指導する指導者の力量で成果は左右されます。専門的なスキルは当然持っているはずですが、幼児に教えていくにはプラスアルファの人柄が必要です。
それを見抜くのは、ずばり、親の直感です。
体験や見学でじっくりと指導者を観察して、子どもへの接し方、態度、明るさ、自分の子どもとの相性などを判断してください。
また、教室全体の運営の雰囲気も大事です。受付やスタッフの対応や、清掃状況などに不備があると嫌な気分になります。運営の細部にまで心配りができている教室は指導もきっと丁寧なことでしょう。
幼児期の数年間は大人にとってはあっという間に過ぎてしまう数年ですが、子どもにとっては一瞬一瞬が成長発達にとって大事な時間です。スイミングも体操も指導プログラムのしっかり確立された有効な習い事です。ここで述べたことを参考に選択し、お子さんに豊かな経験をさせてあげてくださいね。
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