【医師監修】赤ちゃんが吐いた!原因、病院へ行く前に確認すること、受診の目安やホームケア
生後0ヶ月~3歳ごろまでの赤ちゃん・子どもが「吐いた」とき、ママ・パパが何をすればいいか、を受診の前後に分けてまとめました。
また、その症状の程度によって、夜間や休日でも受診したほうがいいのか、診療時間まで待って受診すればいいのか、などの判断の目安を示しました。
赤ちゃんが吐いた原因と気をつけること
赤ちゃんは胃の機能が未発達なためによく吐きます
赤ちゃんは胃の形や機能が未発達なので、吐きやすいもの。おっぱいやミルクを飲んだあとに口の端からたらたらと吐く「溢乳」は心配ありません。
吐く回数が増える、飲むたびに吐く、体重が増えない、などの症状を伴う場合は、病気の可能性があります。
また、咳が原因により吐くことが、吐く理由としてもっとも多いです。
全身の症状が悪い場合はすぐに受診しましょう
吐く回数が少なくても熱がある、ぐったりしている、意識がぼんやりしている、けいれんを起こす、機嫌が悪い、水分がとれないなどの症状が出たら受診しましょう。また緑色のもの(胆汁)を吐いたら、腸閉塞の疑いがあるので緊急で受診します。
吐いたとき すぐにしてあげること
顔を横に向け、吐いたものを取り除き、衣類をきれいにする
吐いたものでのどを詰まらせないように、顔を横に向けます。ガーゼで口のまわりと口の中をきれいにしたら、たて抱きにしたり、座らせたりして吐きけが治まるのを待ちます。落ち着いたら、汚れた衣類を着替えさせます。
考えられる主な病気
・ウイルス性胃腸炎・乳児下痢症(にゅうじけりしょう)
・細菌性腸炎・食中毒
・腸重積症(ちょうじゅうせきしょう)
・肥厚性幽門狭窄症(ひこうせいゆうもんきょうさくしょう)
・胃食道逆流症(いしょくどうぎゃくりゅうしょう)
・風邪症候群(かぜしょうこうぐん)
・髄膜炎(ずいまくえん)
・食物アレルギー
など
吐いたとき まず確認すること
1.水分がとれるのか与えてみます
嘔吐が続いて水分がとれないと脱水の心配が出てきます。おっぱいやミルク、麦茶、湯冷ましなどの水分を与えてみます。水分がとれない場合は受診します。
2.体温を測り、ほかの症状がないかを確認
体温を測り、元気があるか、食欲があるか、機嫌はいいかなど、全身の症状を確認します。また、発熱のほか、下痢、せき、鼻水、発疹などの症状がないかも観察します。
3.吐く様子や吐いたものの量を観察
授乳や離乳食、食事のあと、または遊んでいるときなど、いつどのような状況で吐いたのかをしっかり観察します。また、どんな色で、どんな内容物を何回くらい吐いたのかを確認します。
4.おむつやトイレでおしっこの色を確認
水分がとれない、または少量しかとれない状態でおしっこの色が濃い、回数が減っているなどのときは、脱水症状を起こしかけている可能性があります。すぐに受診しましょう。
0~3ヶ月の赤ちゃんが吐いたときの受診タイミング
0~3ヶ月の赤ちゃん
低月齢の赤ちゃんほど脱水症状を起こしやすいので、注意が必要です。唇が乾く、おしっこが出ないなどは脱水症状のサインなので、急いで受診しましょう。
【緊急受診!!】
□血液や胆汁(緑色のもの)を吐く
【時間外でも受診】
□元気がなく、ぐったりしている
□頻繁に吐き、量が多い(水分をとる以上に吐く量が多い)
□授乳のたびに噴水のように吐く
□いつもと様子が違う
□おなかが張っている
□おしっこが出ない
□唇が乾いている
□12時間以上激しい下痢が続いている
□吐いて激しく泣く
【時間内に受診】
□何度か吐いたが、上記のような症状がない
□くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、発熱、下痢などの症状がある
□数日にわたって吐き、おしっこやうんちの回数が少なく、体重がなかなか増えない
【ホームケアでOK】
□1〜2回吐いただけで機嫌もよく、とくに気になる症状がない
4ヶ月以上の赤ちゃんが吐いたときの受診タイミング
反復して泣くのは腸重積症、胆汁を吐くのは腸閉塞の危険があります。4ヶ月以上だとこれらの病気の可能性があることも頭の中に入れておきましょう。
【緊急受診!!】
□血液や胆汁(緑色のもの)を吐く
【時間外でも受診】
□いつもと様子が違う
□元気がなく、ぐったりしている
□反復して泣く
□激しく泣く
□おなかが張っている
□おしっこが出ない
□唇が乾いている
□強い頭痛がある
□12時間以上激しい下痢が続いている
□38度以上の熱がある
□頭を強く打ったあとに吐く
【時間内に受診】
□何度か吐いたが、上記のような症状がない
□くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、発熱、下痢などの症状がある
□授乳後、噴水のように吐くことが数日続く
□数日にわたって吐き、おしっこやうんちの回数が少なく、体重がなかなか増えない
【ホームケアでOK】
□1〜2回吐いただけで機嫌もよく、とくに気になる症状がない
吐いたとき 受診前にチェック!先生に伝えたいこと
□吐いた回数
□吐いたものの色・内容(透明か、緑か)
□最後に吐いた時間
□どんな状態で吐いたか
□おしっこが出ているか
□水分がとれているか
□吐いた後にすっきりしているか
□吐いた後も、ぐったりしているか
吐いたものを医師に見せましょう
デジタルカメラや携帯電話で吐いたものを写真に撮っておき、受診時に見せましょう。医師が目で確かめることで診断がしやすくなります。
吐いたとき 受診前のホームケア
横向きに寝かせ、安静にします
再び吐いたとき、吐いたもので窒息しないように、首すわり前の赤ちゃんは横向きに寝かせます。背中に丸めたバスタオルなどをあてると安定します。首すわり以降の赤ちゃんの場合は、吐きけが治まるまでたて抱きにします。
少しずつ水分を与えます
脱水症状を防ぐために、麦茶や湯冷ましなど、飲めるもので水分補給を少量ずつこまめに行います。赤ちゃんの場合は、飲みたがり、吐かなければ、おっぱいやミルクでも構いません。
吐いたとき 様子を見るときや、受診のあとのホームケア
【水分補給】吐きけが治まったら、少量の水分を何度も与えます
30分~1時間は何も与えず様子を見ます。何も吐かなければ、湯冷ましや麦茶、経口補水液(薬局などで買える「OS‐1」など)を10~15分おきに与え、少しずつ量を増やします。
【授乳】おっぱい・ミルクの再開は1/3~1/2の量から
吐きけが治まってから1~2時間たち、水分を与えても吐かなければ、おっぱいやミルクを通常の1/3~1/2の量から与えます。ミルクの濃さは変えず、作り方の表記どおりにします。
【離乳食・食事】離乳食や食事は様子を見ながら与えます
離乳食や食事はいったんお休みにします。吐きけが治まり、食欲が回復してきたら、食べられるものを、様子を見ながら少しずつ与えましょう。
【げっぷ】げっぷをさせてガスを出します
赤ちゃんの場合、おなかにガスがたまっていると、げっぷと一緒に吐くこともあります。普段から機嫌が悪い、おなかが張っているなどはガスがたまっているサインです。背中をトントンするなどでげっぷを出してあげましょう。
【おふろ】吐きけが治まり、ほかの症状がなければ入れても
吐きけが治まり、発熱や下痢などほかの症状もなければ、おふろに入れてもいいでしょう。機嫌が悪いようなら、シャワーでさっと洗うだけでも構いません。
吐いたとき 吐いたときにやってはいけないこと
吐いたあとすぐに水分や食べ物を与える
嘔吐すると脱水症状が心配になりますが、吐いた直後には飲ませたり食べさせたりしてはいけません。それが刺激となって、またすぐに吐いてしまうことがあります。
吐きけが治まったあと、乳製品や柑橘類を与える
牛乳やヨーグルトなどの乳製品や柑橘類の果物・果汁は吐きけを誘発しやすい食材です。口あたりがよさそうでもすぐに与えず、しばらくはやめておきましょう。
吐いたあとあお向けに寝かせる
あお向けに寝かせると、吐いたものを気管に詰まらせる可能性があります。まだ吐きそうなときは、体を横に向けて寝かせるか、上半身をやや起こして誤嚥しないようにしましょう。
吐いたものや汚れた衣類を片づけない
吐いたもののにおいで、再び気持ちが悪くなって吐くこともあります。吐きけが落ち着いたところで、素早く着替えさせ、周囲の汚れものも早めに片づけておきましょう。
嘔吐のケア後、手を清潔にしない
ウイルス性や細菌性の胃腸炎が原因で吐いていることもあります。ケアをしたあとは、手を石けんできれいに洗って、家族への感染を防ぎましょう。
●イラスト/仲川かな・小西優子
※表記している、月齢・年齢、季節、症状の様子などはあくまで一般的な目安です。
※この情報は、2019年4月のものです。
初回公開日 2019/4/28
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