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不妊理由の約50%は男性側の問題?! ここ数年で風向きが変わった!男性不妊の今【専門家】

医師カップル患者相談
※写真はイメージです
Atstock Productions/gettyimages

「不妊治療」というと、女性が受けるものというイメージが強いかもしれません。でも、男性側に不妊の原因がある「男性不妊」も決して少なくないようです。男性不妊とはどのようなもので、不妊症のどれくらいの割合を占めているのでしょうか。男性不妊の認知度が低かったころから調査研究を進めてきた、東京医療保健大学看護学部看護学科准教授の朝澤恭子先生に聞きました。

不妊治療を行うカップルのうち、約半数は男性にも原因がある!?

男性不妊の原因には、大きく分けて以下の3つがあります。

[1]精子の数や量に問題がある「造精機能障害」
[2]性交渉ができない「性機能障害」
[3]精子がない、あるいはあっても出られない「閉塞性精路障害」

2015年度厚生労働省調査によると、1年間に泌尿器科の生殖専門医を受診した男性は7268人で、男性不妊の原因の内訳は、造精機能障害 5991人(82.4%)、性機能障害980人(13.5%)、閉塞性精路障害 286人(3.9%)、そのほか(精子鞭毛異常など 11人(0.2%)でした。

妊娠可能な年齢のカップルの15%は不妊で、その48%は男性にも原因があると言われています。

――不妊の原因の半分程度は男性に由来しているんですね。「男性不妊」が認識されるようになったのはいつごろからでしょうか。

朝澤先生(以下敬称略) 私の個人的な見解ですが、2011年ごろからではないでしょうか。それまで男性は、「不妊症の患者さんである女性のパートナー」という位置づけであったように思います。

また、不妊症に関心のある看護者たちや、一般の方々から、「男性不妊」という言葉がときどき聞かれるようになり、メディアなどで取り上げられるようになったのも、このころからではないかと思います。

――男性不妊に対する認知が高まったことで、男性も治療に通いやすくなってきたでしょうか。

朝澤 2011年に不妊専門クリニックで男性患者さんにインタビューしたときは、「男性不妊で治療が必要といっても上司が理解してくれず、会社を休めない」「ぜんそくの治療のため、と嘘をついて不妊クリニックに受診している」というような意見が多かったのです。

ところが、2019年に話を聞いたときは、「上司が理解してくれ、採精のときに会社を休める」という声が多く聞かれるようになりました。とくにここ4~5年で男性不妊が認知され、理解されやすくなってきた印象があります。

これは、不妊を克服した男性芸能人などの発言も影響が大きいかもしれません。また、職場の上司自身が不妊治療を経験していたり、周囲に不妊治療を経験した男性がいたりして、男性も不妊治療を行うことを肯定される環境が整ってきたのではないかと推測しています。

不妊の相談に行くときはカップルそろって。検査も2人同時に行いましょう

――男性に由来する不妊が、不妊症の半分程度はあるということは、「子どもがほしいけれどなかなかできない」と感じた時点で、カップルで一緒に検査を受けたほうがいいでしょうか。

朝澤 そのとおりです。ただし、男性は非常にデリケートなので、「不妊治療は夫婦の問題だから一緒に行くのが当たり前」という言い方をすると、受診してくれなかったり、治療に協力してくれなかったりすることがあります。

私が話を聞いた範囲では、男性は「子どもが授かるかどうかは自然に任せる。できないのならそれでもいい」という考え方の人が多かったです。
おそらく、女性のほうが「子どもがほしい」という気持ちを強く待っているカップルが多いと思うので、「2人の子どもがほしいから、検査と治療に協力してほしい」とお願いするようなコミュニケーションを取ることが、不妊治療をスムーズに進めるためのコツかなと思います。

――最初は女性が検査をして、女性に問題がなかったら男性にも検査をしてもらう…という段取りのほうが、男性が納得して検査を受けてくれるでしょうか。

朝澤 男性に原因があるかもしれないのに、女性だけ先に検査をすると、時間と治療費が無駄になってしまいます。男女とも診察できる施設に2人で受診し、検査を同時に行うことをおすすめします。

不妊治療専門施設には、婦人科、泌尿器科の両方を診療できる医師がいます。また、婦人科専門のクリニックでも、泌尿器科の医師がいる曜日を設けて、男性も受診できるところがあります。事前にホームページなどで調べて、男女ともに検査・治療が受けられる施設を受診するのが、時間的にも費用的にもロスがないと思います。

子どもを望むカップルが35才前に妊活をできる社会を作ることが重要

――政府が2022年度の導入をめざす不妊治療の保険適用の中には、精巣から精子を採取する手術、勃起障害を伴う男性不妊への薬物治療、射精障害に対する抗うつ薬の治療も含まれるようです。男性不妊の治療も保険適用となることで、不妊治療をしようと考える男性は増えると思われますか。

朝澤 保険適用は不妊治療を行う立場からは歓迎されるシステムです。患者さんの受診行動のハードルを下げるため、受診する男性数は増えるかもしれません。
しかし、自治体により収入制限や女性の年齢制限などがあり、万全ではありません。さらに、そのカップルに合った治療内容を計画する自由診療から、一定の範囲の治療内容で診療報酬を一律に設定する方法に変えることで、治療の質が担保できるのか、ということも懸念されます。

――少子化対策が必須となっている今、男性不妊への理解がもっと深まれば、少子化対策につながるでしょうか。

朝澤 男性不妊への理解が深まれば、患者さんは受診しやすくなり、パートナーである女性も、不妊治療をしやすくなるのは確かです。ただ、理解が深まったからといって、すぐに少子化対策にはならないと考えます。なぜなら、この10年間で不妊症に対する社会の理解が深まり、女性も受診しやすくなったと認識していますが、出生率と合計特殊出生率は減少する一方だからです。

少子化対策は不妊治療に限定して行うのではなく、適齢期の男女が出産・育児をしやすく、マタハラやパタハラのない社会を作るための対策も講じることが必須です。
また、高学歴で社会的地位があるケースで、不妊治療を始める年齢が高齢化する傾向にあります。首都圏ではこの傾向がとくに顕著です。しかし、高齢になるほど妊娠の可能性は下がってしまいます。このような人たちが35才前に妊娠・出産できるような環境を整える必要もあります。
これらのことに国が早急に取り組んでくれることを願っています。

取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

お話・監修/朝澤恭子(あさざわきょうこ)先生

男性不妊の認知度は高くなってきていて、男性が不妊治療で通院することも理解されやすくなってきているようです。不妊の相談は最初からカップルが一緒に行うことが大切とのことなので、子どもがほしいと思ったら、まずは2人でよく話し合いましょう。

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