【医師監修】赤ちゃんのけいれん 原因、病院へ行く前に確認すること、受診の目安やホームケア

生後0ヶ月~3歳ごろまでの赤ちゃん・子どもが「けいれんした」とき、ママ・パパが何をすればいいか、を受診の前後に分けてまとめました。
また、その症状の程度によって、夜間や休日でも受診したほうがいいのか、診療時間まで待って受診すればいいのか、などの判断の目安を示しました。
目次
【記事監修】
神奈川県立こども医療センター 総合診療科部長
Profile
2005年より現職。専門各科と連携しながら、総合診療科で治療に努めていらっしゃいます。
けいれんした原因と気をつけること
けいれんを起こすと、急に意識を失い、白目をむいて、全身をガクガク震わせます。
これは、高熱が出たときや、細菌やウイルスの感染などなんらかの刺激によって、脳の神経細胞が異常に興奮したために起こる反応と考えられています。
落ち着いて観察し、5分以上続いたら至急受診します
大切なことは、ママやパパが気持ちを落ち着かせ、よく観察することです。けいれんが続いた時間は、治療上重要な情報です。
多くのけいれんは、1~2分で止まりますが、5分以上続いたり、繰り返すときは至急受診しましょう。
けいれんしたとき すぐにしてあげること

吐いたものが気管に詰まらないように、平らな場所に寝かせ、顔を横向きにします。呼吸しやすいよう、衣類やおむつは緩めます。
ポットや暖房器具など危険なものは周囲から遠ざけて、やけどなどの事故を防ぎます。
考えられる主な病気
・熱性けいれん(ねっせいけいれん)
・憤怒けいれん(ふんむけいれん)・泣き入りひきつけ
・てんかん
・髄膜炎(ずいまくえん)
・急性脳炎(きゅうせいのうえん)・急性脳症(きゅうせいのうしょう)
・熱中症
など
けいれんしたとき まず確認すること
赤ちゃんがけいれんしたとき、慌てずまず以下の項目を確認しましょう。
1.けいれんが続いた時間を確認

けいれんが続いた時間によって受診のタイミングが異なり、診断の手がかりにもなります。
けいれんが始まったら、まずは落ち着いて何分続いたか、時間を確認しましょう。
2.けいれんの状態を観察

けいれんが全身に左右対称で起きているのか、体の一部分だけか、片側だけか、白目をむいたときの瞳の位置(左を向いているなど)も観察します。
これも医師が診断する上で、大切な情報になります。
けいれんしたとき けいれんが治まったらすること
赤ちゃんのけいれんが治まったら、以下の項目をチェックしてください。状況により小児科を受診するなどの対応が必要になる場合があります。
1.意識の回復を確認

顔に赤みが出る、手や足の突っ張りやかたさがなくなる、目を開ける、泣くなど、いずれかの様子が見られたら意識は戻ってきています。
疲れて眠っていたらそのまま観察します。心配な場合は、受診しましょう。
2.体温を測る
意識が戻ったら、体温を測り、記録しておきましょう。もし熱があったら、少しずつ水分を補給していきます。
体温が38度以上あった場合には、診療時間外でも受診します。
3.けいれんを起こす前の状況を思い出す

けいれんを起こす前の状況も診断に必要な情報です。
熱があった、体温が急に上昇した、大泣きした、かんしゃくを起こした、高温多湿の場所にいた、何かの刺激を受けたなど、思い出して医師に伝えましょう。
赤ちゃんがけいれんしたとき 症状別の受診タイミング
※初めてけいれんを起こしたときは、けいれんが治まっても必ず受診しましょう。
【緊急受診!!】
□けいれんが5分以上続いた
□繰り返しけいれんを起こす
□けいれん後、意識が戻らず、ボーッとしていたり、ぐったりしている
□意識がはっきりしたりぼんやりしたりする
□顔色が悪く、唇が紫色である
□呼吸が弱かったり、おかしい
□繰り返し吐く
□頭を打ったあとにけいれんを起こした
【時間外でも受診】
□月齢6ヶ月未満
□初めてけいれんを起こしたが、意識が戻っている
□吐いた
□38度以上の熱がある
【時間内に受診】
□けいれんが24時間以内に再発しない
□けいれんが5分未満で治まり、意識が戻った
□以前に、病院で「けいれん発作」と診断されたことがある
□2回目以降のけいれんだが、今までと症状が違う
【ホームケアでOK】
□2回目以降のけいれんで、診断がついている
□かんしゃくが原因で激しく泣いて起きたけいれん(憤怒けいれん)
けいれんしたとき 受診前にチェック!先生に伝えたいこと
□けいれんを起こしたのはどんな状況か
□熱があるか
□どのくらいの時間、けいれんが続いたか
□左右の差など、けいれんの様子はどうだったか
□何回くらいけいれんを繰り返したか
□けいれんが治まったあとの様子はどうか
□これまでけいれんを起こしたことがあるか
□目が左や右の方向に向いていたか?
家族に熱性けいれんを起こした人がいるかも伝えて
熱性けいれんは、遺伝的要素が強いので、過去に家族の中で熱性けいれんを起こした人がいるかどうかも医師に伝えましょう。
けいれんしたとき 様子を見るときや、受診のあとのホームケア
赤ちゃんがけいれんしたとき、自宅での過ごし方の注意事項をご紹介します。
【水分補給】十分に水分を与えて、安静にします

湯冷まし、麦茶などを少しずつ与え、静かにゆっくり休ませましょう。おっぱいやミルクでも構いません。水分を欲しがらないときは、無理に飲ませる必要はありません。
【おふろ】けいれんを起こした当日は入浴は控える

けいれん後、すっかり元気になっても、その日の入浴は控えましょう。また数日は、遠出のお出かけなど負担のかかる行動はやめておき、無理をしないようにしましょう。
けいれんしたとき けいれんを起こしたときにやってはいけないこと
赤ちゃんがけいれんしたとき、赤ちゃんにやっていはいけないことをまとめました。
【×】抱き起こす、抱きしめる

心配でなんとかしたいと、抱き起こしたり抱きしめたりしたくなりますが、けいれんは止まりません。
【×】体をたたく、揺さぶる

体をたたいたり、揺さぶったりしても意識が回復するわけではありません。
【×】口の中に指や物を入れる

歯を食いしばっている様子を見て、舌をかまないようにと、口に指や物を入れるのはとても危険です。
のどを刺激して吐くことを誘発してしまったり、窒息を起こしたり、口の中を傷つけてしまうことがあります。
【×】パニックになって様子を見ない

初めてけいれんを起こしたとき、冷静でいられるママ・パパは少ないでしょう。
とても正視できないという気持ちはわかりますが、そのときの様子を確認して、あとで医師に伝えるのは目の前にいるママ・パパの役割です。
【×】無理にケアをしようとする

衣類やおむつを緩めるのも大切ですが、初めてけいれんを目の前にしたときに、刺激にならないように緩めるのは難しいもの。できないときは、見守ることを第一に。
●イラスト/仲川かな・小西優子・内田深雪
※表記している、月齢・年齢、季節、症状の様子などはあくまで一般的な目安です。
※この情報は、2019年4月のものです。
初回公開日 2019/5/1
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