【専門家監修】離乳食完了期(1歳~1歳6ヶ月ごろ)の進め方! 与えてOKな食材一覧
1歳をすぎると、かなり大人の食事に近いかたさのものが食べられるようになってきます。また離乳食からとる栄養素の量も80%以上になります。とはいえ、体が未発達なので、味つけや食材は、まだ大人と同じにはできません。そこで、離乳食の卒業に近づく1歳~1歳6ヶ月ごろの離乳食の正しい与え方と与えていい食材を紹介します。
離乳食完了期はいつからいつまで
離乳食完了期というのは、いつごろの時期の離乳食のことなのでしょうか?
目安は12~18ヶ月ごろ
1980年に離乳の基本が策定され、その後約10年ごとに離乳の指針が見直されています。かつての目安は、月齢と初期、中期、後期、完了期としていました。しかし、2007年に策定された「授乳・離乳の支援ガイド」では、個々の成長の流れの中でゆるやかに進められるようにするため、〇〇期という呼び方をやめています。現在でも育児雑誌やWEBサイトでは12~18ヶ月ごろを後期と表記していることもありますが、ガイドではシンプルに12~18ヶ月ごろとして記載しています。
1歳~1歳6ヶ月ごろの離乳食の内容は?
1歳~1歳6ヶ月ごろの離乳食は、1歳になって「バナナくらいのかたさのものを前歯(歯ぐき)でかじりとり、奥の歯ぐきでかんで食べられるようになる、スプーンやフォークを使おうとする」状態が、移行の目安になります。
1歳~1歳6ヶ月(完了期)離乳食の基本
味つけは薄めに
刺激物を除けば、ほぼ大人と同じ味つけができるようになります。ただし、味が濃いものは腎臓に負担をかけるので、薄味を基本にしましょう。
離乳食を与える頻度と回数
大人と一緒に朝・昼・夜の3食を与えるようにしますが、3食目は19時までに終わらせましょう。食事ではたりない栄養を補うために、1日1~2回、時間と量を決めておやつを与えてもかまいません。
食事の量
この時期の1回当たりの目安量は、以下のようになります。
炭水化物
軟飯なら90g、ごはんなら80g、食パン(サンドイッチ用)なら11/2枚、ゆでうどんなら1/3~1/2玉
ビタミン・ミネラル類
野菜・果物40~50g
タンパク質
魚や肉なら15~20g、豆腐なら50~55g(1/6丁)、全卵なら1/2~2/3個、乳製品なら100g
1歳~1歳6ヶ月(完了期)の離乳食への進め方・正しい与え方
完了期の離乳食は、いつ、赤ちゃんがどんな状態になったら始めたらいいのか、その目安をご紹介します。
1歳~歳6ヶ月(完了期)の離乳食への移行時期の目安
1歳ごろ、バナナくらいのかたさのものを奥の歯ぐきでかんで食べられるようになったら、奥の歯ぐきでかめるかたさのものを増やしていき、1歳~1歳6ヶ月ごろの離乳食へと進みます。大人の食事より少しやわらかめの、肉だんごくらいのものを歯ぐきでかみつぶす練習をしていきます。
離乳食のタイムスケジュール
・1日3回の離乳食+1日1~2回のおやつ(補食)
・おやつ(補食)は、乳製品やいも類、果物などを与えます。
・3回の離乳食は大人と一緒に食事をします。
・3回目の離乳食は、19時ぐらいまでに食べ終えるようにします。
1歳~1歳6ヶ月ごろの離乳食の栄養バランス
栄養素の80%ぐらいを離乳食からとるようになるので、献立の栄養バランスは大事です。大人の食事から、薄味でやわらかいものを取り分けるなどの工夫をすれば、献立を立てやすいでしょう。
献立のポイント
・刺激物やかたすぎるものは避けます。
・濃い味のものは内臓に負担がかかるので、避けます。
・加工品、市販の総菜、ファストフードは塩分が多いので、少量に。
・食品添加物は、できるだけ少ないものを。
離乳食のかたさの目安と軟飯・魚の照り焼きのレシピ(作り方)
奥の歯ぐきで、食べ物をかんでつぶして食べる練習を続けます。かたさは肉だんごくらいが目安です。しかし、弾力のあるものやかたすぎるものなど、まだ食べられないものもあります。大人より少しやわらかめに調理しましょう。
前歯が生えそろうころには、食べ物をかじり取れるようになります。ゆで野菜などをスティック状にしてあげると、自分でつかんでかじり取る練習ができます。またスティック状のものだけでなく、平たいものをつまんで食べるなど、手指も発達します。手づかみのメニューも形を変えて出してみましょう。
軟飯の作り方
大人のごはんを少しやわらかくしたものです。
・材料
普通に炊いたごはん1カップ、水1/3~1/2カップ
・作り方
(1)小鍋にごはんと水を入れ、ひと混ぜする。
(2)(1)にふたをして弱火にかけ、約5分煮る。
(3)火を止めて、約5分蒸らす。
魚の照り焼きの作り方
蒸し焼きにすればやわらかく調理できます。一口大あるいはスティック状に切って与えましょう。
・材料
生鮭など(切り身)1/4切れ、しょうゆ少々、砂糖少々、水大さじ2~3、サラダ油少々
・作り方
(1)魚はさっと洗って、水けをふき取り、皮と骨を取り除く。
(2)ボウルにしょうゆ、砂糖、水を入れ、(1)をつけて下味をつける。
(3)フライパンにサラダ油を熱し、(2)を焼く。両面を焼いて中まで火がしっかり通ったら、(2)のつけ汁をからめる。
※魚に厚みがあるときは、ふたをして蒸し焼きにします。
離乳食の正しい食べさせ方と赤ちゃんの食べ方チェック
舌が自在に動くようになり、口の中で食べ物を思うままに移動させることができるようになるころです。口の動きは大人に近づき、食べるための咀嚼の基礎をほぼ習得します。
1人で食べられるステップとして、積極的に食べ物に手を出し、手づかみ食べをしようとします。手でつかんで口に入れることで、自分の口に入る食べ物の大きさ、量などを確かめているのです。手づかみ食べがしやすいメニューを準備してあげましょう。また、スプーンやフォークなどを使い始めてもいいころ。フォークを刺して赤ちゃんに渡すと、自分で食べる満足感が得られ、意欲的に自分で食べるようになるでしょう。食具を使用する際、口の奥に入れてしまうとまる飲みになりやすいので、唇や前歯を使っているか見守りましょう。コップを使って、1人で飲めるようになっていきます。赤ちゃんが1人で持ちやすい大きさや形のコップを用意して、持たせてあげましょう。
1歳~1歳6ヶ月(完了期)の離乳食 与えてOK食材一覧
この時期になると、赤ちゃんの消化機能はずいぶん発達してきます。とはいえ、新しい食材を食べさせるときは、何かあったらすぐにかかりつけ医に受診できるよう、午前中に与え、少なめの量から始めましょう。
1歳ごろから与えてOKのもの
●米・パン(玄米、ライ麦パン、ナン、蒸しパン)
玄米は白米に少量混ぜる程度に、ライ麦パンは耳を取ってスティック状、そのほかは小さくちぎって。
●炭水化物(ホットケーキミックス、グラノーラ)
ホットケーキミックスで作ったホットケーキは小さくちぎって、グラノーラは刻んで与えます。
●大豆・大豆製品(厚揚げ、油揚げ、おから、がんもどき)
おからはとろみをつけたりしっとりさせて、そのほかは熱湯を回しかけて湯抜きしてから小さく切って。
●卵製品(卵豆腐)
1cmぐらいの角切りにし、スープやすまし汁の具として。
●乳製品(スモークチーズ、生クリーム)
スモークチーズは小さく切って、生クリームは料理に少量使う程度に。
●肉類(ウインナ、ハム、焼き豚)
ウインナは皮のないタイプ、ハムは無添加のものがおすすめ。湯通しか加熱をし、1cmぐらいの細切りに。焼き豚は、湯通しして3~4mmサイズに切ったものを少量に。
●魚介類(あゆ、あさり、しじみ、)
あゆはしっかり加熱したあと小骨をしっかり取り除いて、貝は砂抜きして加熱したものをみじん切りに。
●魚介加工品(はんぺん、かに風味かまぼこ、ちくわ、さつま揚げ、鮭フレーク、魚干もの、スモークサーモン、イクラ、桜でんぶ、かずのこ、たらこ)
練り物は、熱湯をかけて塩抜きして小さく切って、鮭フレークは塩分が少ないものを少量だけ、干ものは小骨を取り除いて身をほぐして少量だけ、スモークサーモンは1cmサイズに切って少量だけ、イクラはつぶして、桜でんぶはそのままでいいですが少量だけ、かずのこ・たらこは小さく切って少量だけに。
●葉菜・果菜類(たけのこ、栗、貝割れ大根)
たけのこは、穂先の部分を5~6mmぐらいの角切りにして少量に、栗は加熱して粗みじん切りにして少量だけ、貝割れ大根は粗みじん切りにして与えて。
●きのこ類(マッシュルーム、なめこ、干ししいたけ)
いずれも粗みじん切りにして。
●海藻類・そのほか(味つけのり、かんぴょう、きくらげ、梅干し、漬物)
味つけのりは小さくちぎってごはんに混ぜるなどして、かんぴょうはだし汁でやわらかく煮込んでから粗みじん切り、きくらげは粗みじん切りにして、梅干し・漬物はみじん切りにしたものをごく少量だけにします。
※ライ麦パン、ナン、ホットケーキミックス、卵豆腐、スモークチーズ、生クリーム、イクラは食物アレルギーを起こしやすいといわれる食材です。
※赤ちゃんに初めての食材を与えるときは、どの食材でも病院があいている日の午前中、単品で、ごく少量ずつから始めます。
注意したい食品・衛生面
そのほか、離乳食作りでは、以下のことに注意しましょう。
・はちみつは、乳児ボツリヌス症予防のため1歳までは使用しません。
・牛乳は、鉄欠乏性貧血予防のため、飲料とするのは1歳を過ぎてからにします。ただし、離乳食作りの材料としてなら、5,6ヶ月から加熱調理で少量使用できます。
・卵は、食物アレルギー予防のために、しっかり加熱した卵黄から始めましょう。
・日本そばやピーナッツは強いアレルギーを起こすことがあるので注意しましょう。
・果汁は、与え過ぎると母乳やミルクの量が不足するので便秘のとき以外は必要としません。
・誤嚥(ごえん)、窒息の恐れのある食品は、与えないか調理の工夫をします。もち、こんにゃくゼリー、豆は3歳までは与えません。赤ちゃんせんべいなどは大人が見ている前で座って食べさせましょう。
・赤ちゃんは細菌に対する抵抗力が弱いので、料理の前に手指はよく洗い、食材や調理器具も衛生面には注意を払いましょう。
・離乳食は薄味で水分が多いため腐りやすいです。作ったらすぐに食べさせます。残った離乳食は食べさせません。
・赤ちゃんをやけどさせないように、必ず人肌に冷ましてから与えるようにしましょう。
1歳~1歳6ヶ月ごろ(完了期)の離乳食の与え方のポイント・注意点
大人の食事にかなり近いものが食べられるようになりますが、それでもまだ注意することがいろいろあることを知っておきましょう。
大人の食事とまったく同じはだめ
この時期になると、大人と似たようなものが食べられるようになります。とはいえ、まだ大人とまったく同じものは食べられません。味の濃いもの、刺激物、かたすぎるもの、消化に悪いもの、生もの、誤嚥・窒息しやすいもの、カフェインの多いものは与えないようにしましょう。
食物アレルギーに注意する
赤ちゃんが食物アレルギーを起こしやすいのは、消化機能が未発達なため。年齢が上がり消化能力がアップして腸管の免疫能が整ってくると、アレルギー反応を起こしにくくなってきます。とはいえ、まだ初めて与える食材には注意をしたいもの。初めての食材は、午前中に少量から与えるようにしましょう。
食事のマナーについても教えよう
1歳を過ぎると大人のいうことを理解できるようになって、ママやパパのまねをしたがるようになってきます。食事の前にはおもちゃを片づける、手を洗う、エプロンをつける、「いただきます」「ごちそうさま」のあいさつをするなどの流れを身につけさせましょう。大人がお手本を見せることで、子どもが学ぶことがたくさんあります。テレビをつけない、正しい姿勢で食べる、楽しく食べるなどを心がけましょう。
1歳~1歳6ヶ月ごろ(完了期)の離乳食の悩み
1歳~1歳6ヶ月(完了期)の離乳食で経験しやすい離乳食の悩み改善策をご紹介します。
遊び食べが激しい
おなかが満たされている証拠です。最初から遊ぶようなら生活リズムを見直しましょう。赤ちゃんが料理を手でぐちゃぐちゃにしたり、床に投げてしまうのは、食べ物に興味を持ち始めたというサインで、大切な成長過程の一つでもあります。言葉かけをしながら集中させましょう。食環境は気が散らないようにおもちゃや絵本を見えない場所にしまい、足がしっかり床に着く椅子に座らせて、テーブルの高さは胸とおなかの間くらいになるように調節します。大人が困る行動なら、「困るな、嫌だな」と困っていることを言葉でしっかり伝えます。今はわからなくても、人の気持ちが理解できるようになると、「遊んではいけないことだ」と理解できるようになるからです。
スプーンやフォークを上手に使えないうちは、ゆで野菜スティックや魚のフライを手づかみ食べしやすい大きさにするなど、自分で持って食べられるものを毎食1~2品用意しましょう。自分の手で食べると、自然と食事に集中できるものです。
また、赤ちゃんは赤や黄などカラフルなものが大好き。興味を持つようにカラフルな食材を使ったり、盛りつけを工夫してみましょう。遊び始めたら「ごちそうさまかな」と聞いて残っているとしても30分くらいで片づけましょう。
肉が苦手・食べられない
まだ奥歯が生えそろっていないため、加熱するとかたくなりかみ切りにくい肉は、食べにくいものです。調理方法を工夫して、食べやすくしましょう。たとえば、ひき肉なら豆腐や野菜などを混ぜると加熱してもやわらかく仕上がります。しゃぶしゃぶ肉は、こまかく切るよりもあんでとろみをつけたり、片栗粉をまぶしてから焼くとやわらかい食感に仕上がり、食べやすくなります。ひき肉そぼろは口の中でバラバラになって食べにくいため、あんでとろみをつけたり、卵に混ぜたりして調理すると食べやすさがアップするでしょう。
野菜が嫌いで食べない
野菜の独特の香りや苦み、食物繊維などの食感を苦手とする子が多いようです。食べにくいものには、レタスや薄切りのきゅうり、繊維の多いごぼう、においの強いピーマン、セロリ、皮があるなすやトマト、辛味のある大根、長ねぎなどがあります。よく煮たり、とろみをつけたりタンパク質食材と一緒に調理したり、味つけを工夫しながら根気よく慣らしていきましょう。
野菜にそのものに興味を持たせることも大切です。栽培をする、収穫する、下ごしらえをする、味見をするなどの手伝いを通して身近に感じられると食べるようになります。まわりの大人がおいしそうに食べる姿を見せたりしてもいいでしょう。食べられるように励ましたり少しでも食べられたらほめるのもおすすめ。子どもの好き嫌いは固定していないので、好きな野菜が増えるように根気よくかかわりましょう。
1歳~1歳6ヶ月の離乳食(完了期)は、赤ちゃんの自己主張が強くなる時期と重なって、進めるのが大変なことも。自分で食べたい気持ちを満足させてあげるとともに、外遊びなどで体をたっぷり動かして、おなかをすかせておくことも大事ですね。
(文/ひよこクラブ編集部)
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初回公開日 2017/8/16
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