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狂犬病ワクチン・黄熱ワクチン/流行地域に渡航する場合には家族全員が接種を検討することになります

狂犬病ワクチン 黄熱ワクチン

日本国内で小児が受けることができる任意接種のワクチンには、狂犬病を防ぐ狂犬病ワクチンと、黄熱を防ぐ黄熱ワクチンもあります。国内でこれらの病気にかかる心配はありませんが、A型肝炎ワクチン、髄膜炎菌ワクチンなどとともに渡航先によっては「トラベラーズワクチン」として接種されることがあります。これらの病気の発症リスクが高い地域に旅行や赴任などで訪れる際には、国内で接種を検討する必要があります。狂犬病ワクチンと黄熱ワクチンについて、小児科医で国立感染症研究所感染症疫学センター・第3室(予防接種室)室長の多屋馨子先生に解説してもらいました。

狂犬病ワクチンは、致死率ほぼ100%の狂犬病の発症を防ぐ

・任意接種
・不活化ワクチン
・皮下注射(KMバイオロジクス社製)または筋肉内注射(GSK社製)

国内では狂犬病の心配はありませんが、海外ではまだ多くの国々で狂犬病が報告されています。狂犬病は、狂犬病ウイルスを持つ犬や猫、野生動物にかまれたり、ひっかかれたりしたときに感染する病気で、発症すると治療法はなく、ほぼ100%死亡します。万一、狂犬病ウイルスが体内に入っても、予防接種を受けておけば、既定の処置と合わせて効果を発揮し、発症を予防することができます。

アジアでは犬からの感染例が多く報告されていますが、欧米やアフリカなどでは、コウモリやアライグマ、キツネなども媒介動物として挙げられているため、海外赴任する場合はもちろん、短期の旅行で行くときも、これらの動物との接触の機会がある場合は、家族全員が予防接種について、渡航者外来などで相談するようにしましょう。

なお、海外で狂犬病が疑われる動物にかまれたなど接触があった後は、渡航前の予防接種の有無に関わらず、発症を予防する目的で急いで狂犬病ワクチンを接種する必要があります。速やかに渡航先の現地医療機関を受診してください。

【予防接種の受け方と時期は?】ワクチンの種類で受ける回数、間隔が異なります

ワクチンは2種類ありますが、どちらも接種年齢に制限はありません。
KMバイオロジクス社製は4週間間隔で2回接種し、さらに、6~12ヶ月後に1回追加接種します。
GSK社製は1回目を0日として、0日、7日、21日、または0日、7日、28日の3回接種します。

【効果の持続期間は?】1年~1年6ヶ月程度効果が持続します

3回接種することで1年~1年6ヶ月程度は予防効果が期待できます。渡航期間が長期にわたる場合は、渡航先の医療機関で相談してください。

【副反応は?】接種部位の痛みや赤く腫れる、発熱など

接種した部位が赤く腫れる、発熱など、予防接種後によく見られる副反応が出ることがありますが、狂犬病ワクチン特有の副反応は報告されていません。

狂犬病とはどんな病気?

・かかりやすい季節は?…通年
・かかりやすい年齢・月齢は?…とくになし
・主な症状は?…発熱、頭痛、倦怠感、食欲不振、恐水症状、恐風症状、脳炎症状(興奮、錯乱、幻覚など)
・感染力は?…人から人への感染はしない
・ママからの移行免疫は?…期待できない

狂犬病ウイルスを持つ野生動物にかまれたり、ひっかかれたりしたあと数ヶ月後に発症。狂犬病の報告がない国(日本、英国、スカンジナビア半島の国々など一部の地域)の方が少なく、全世界で報告されています。明らかな症状を示していない動物もいますので、渡航先では犬や野生動物などには、むやみに触れないようにしましょう。

【症状・経過は?】風邪症状から始まり最終的にはほぼ100%死亡する

最初は発熱、頭痛、倦怠感、食欲不振、嘔吐、せきなど風邪のような症状が現れ、かまれた部分の痛みやその周辺の知覚異常、筋肉のけいれんなどを伴います。脳炎を発症すると、興奮、錯乱、幻覚、恐水症(水を見ると首の筋肉がけいれんする)などの症状が見られるようになり、最終的には昏睡状態から死に至ります。
発症すると治療薬はなく、ほぼ100%死亡するとても怖い病気です。

狂犬病が疑われる動物にかまれたり、ひっかかれたりしたときは、すぐに傷口を石けんと水で洗い流し、至急、現地の医療機関を受診します。そして狂犬病ワクチンと抗狂犬病ガンマグロブリンを投与し、発症を防ぐことが非常に重要ですが、日本には抗狂犬病ガンマグロブリンがありません。

【患者数・罹患率は?】全世界では年間推計5万9000人が死亡

日本ではフィリピンで犬にかまれて2020年に国内で発症した人がいますが、1957年以来、国内では狂犬病は発生していません。WHO(世界保健機関)によると、全世界では今でも年間5万9000人が狂犬病で死亡しています(2017年)。アジアでの発症が非常に多く、欧米、アフリカでの報告もみられます。

黄熱ワクチンは、特効薬がなく致死率20%の黄熱を予防する

・任意接種
・生ワクチン
・皮下注射

黄熱は対症療法しか治療法がなく、発症すると致死率20%の怖い病気のため、ワクチンを接種して予防することが非常に重要になります。

【予防接種の受け方と時期は?】1回接種(9ヶ月未満の赤ちゃんは受けられません)

以前は10年ごとに再接種が必要でしたが、2016年11月以降は、1回の接種で生涯有効になりました。なお、脳炎発症の危険性が高いため、9ヶ月未満の赤ちゃんは受けることができません。
妊娠または妊娠している可能性があるママは、できれば渡航を延期します。どうしても渡航をやめることができない場合は、渡航者外来あるいは検疫所などで相談してください。

【効果の持続期間は?】一生涯続きます

1回の接種で生涯有効な免疫を得られます。ただし、有効になるのは接種の10日後から。そのため、流行地域に行く場合は、余裕をもって予防接種を受けておく必要があります。

【副反応は?】接種部位の腫れ、発熱など

接種部位の腫れや発熱程度で、基本的にはとても安全なワクチンですが、高齢者が接種する場合は副反応に注意が必要です。まれ(10万回接種に0.4〜0.8例程度)に脳脊髄膜炎、ギラン・バレー症候群などの神経系の副反応や、熱性多臓器不全という副反応が見られることがあります。

黄熱とはどんな病気?

・かかりやすい季節は?…西アフリカでは雨期の終わり~乾期の始め(通常7~10月)、南米では雨期(1~5月、2~3月にピーク)
・かかりやすい年齢・月齢は?…とくになし
・主な症状は?…発熱、頭痛、筋肉痛、嘔吐、黄疸、出血傾向
・感染力は?…人から人への感染はしない
・ママからの移行免疫は?…期待できない

黄熱ウイルスを持った蚊に刺されることで感染します。今もアフリカや南米などで地域的流行が発生しています。

【症状・経過は?】重症だと黄疸や出血が見られます

潜伏期間3~6日を経て、軽症の場合は頭痛、発熱、嘔吐、結膜充血などインフルエンザに似た症状が現れ、1~3日で回復します。重症の場合は突然高熱が出て、黄疸、出血(鼻血、歯肉出血、下血)などの症状が現れます。治療は対症療法しかなく、致命率は20%と高いです。

【患者数・罹患率は?】南米とアフリカで年間約20万人が発症

患者数は、南米とアフリカを合わせて年間約20万人と言われており、旅行者の感染例も報告されています。さまざまな要因があるので旅行者の感染を推定することは難しいですが、ワクチンを受けていない人が2週間滞在した場合、西アフリカでは10万人当たり50人の発症と10人の死亡が推定されています。一方、南米では10万人当たり5人の発症と1人の死亡が推定されています(米国CDC Yellow book2020より)。

狂犬病、黄熱は日本国内では発症例がないだけに、感染への警戒感が薄まりがちですが、世界ではどちらも多くの人が感染しており、致命率も高いとても怖い病気です。流行地域へ行く場合は、たとえ短期間でもこれらの予防接種について、まずは渡航者外来や検疫所などで相談してください。黄熱は予防接種を受けていないと入国できない国があります。

情報提供/多屋馨子先生 取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

多屋馨子先生(たやけいこ)

Profile
国立感染症研究所 感染症疫学センター 第三室(予防接種室)室長。小児科医。高知医科大学(現 高知大学医学部)卒業。大阪大学医学部小児科講座に入局し、大阪大学医学部附属病院・関連病院小児科、大阪大学医学部微生物学講座・小児科学講座で小児科の臨床、ヘルペスウイルスを中心とした基礎研究、小児感染症学の教育に従事。2001年から国立感染症研究所感染症情報センター主任研究官。02年から国立感染症研究所感染症情報センター第三室(予防接種室)室長。13年から現職。

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