【医師監修】赤ちゃんのせき 原因、病院へ行く前に確認すること、受診の目安やホームケア
生後0ヶ月~3歳ごろまでの赤ちゃん・子どもが「せきが出た」とき、ママ・パパが何をすればいいか、を受診の前後に分けてまとめました。
また、その症状の程度によって、夜間や休日でも受診したほうがいいのか、診療時間まで待って受診すればいいのか、などの判断の目安を示しました。
せきが出た原因と気をつけること
せきは、気管にたまった分泌液や異物を除いて、呼吸機能を正常に保つための防衛反応です。ウイルスや細菌、アレルギー物質、のどに落ちてきた鼻水などで呼吸器の粘膜が刺激されたとき、またウイルスや細菌が呼吸器の粘膜に感染して炎症を起こすとせきが出ます。
せきをしたときの音や全身症状にも注意しましょう
声がかすれて呼吸が苦しそう、ヒューヒュー、ゼーゼーなど音がする、ケンケンしたせきが出る、だんだんせきがひどくなる、高熱が出て元気も食欲もないなど、全身症状が悪いときは受診が必要です。呼吸困難になったら、夜中でも至急受診します。
考えられる主な病気
・RSウイルス感染症
・風邪症候群(かぜしょうこうぐん)
・クループ症候群(くるーぷしょうこうぐん)
・気管支炎(きかんしえん)
・細気管支炎(さいきかんしえん)
・気管支ぜんそく
・肺炎(はいえん)
など
せきが出たとき まず確認すること
赤ちゃんのせきが出たとき、まず以下の項目を確認しましょう。
1.せきが出たときの状況を確認
いつどういう状態でせきが出るのかを観察します。一日中か、朝・昼・夜のいずれかの時間帯か、布団に入ったときか、春など特定の季節か、または特定の食べ物を口にしたときかなどを、確認します。
2.どんなせきなのか、音を聞く。
ゴホンゴホンというせき、コンコンというせき、ケーンケーンというせきなど、どんなせきなのか観察します。ヒューヒュー、ゼーゼーという音が聞こえるなど、呼吸の様子も確認しましょう。
3.せき以外の症状を見る。
元気がない、機嫌が悪い、眠れない、食欲がないなど、全身の症状や普段と違う様子がないかを観察しましょう。また発熱や鼻水、のどが赤い、たんが出るなどのせき以外の症状も確認します。
4.飲んだり食べたりできるか与えてみる。
赤ちゃんの場合は、おっぱい・ミルクが飲めるか、またはおっぱい・ミルク以外の水分がとれるか、離乳食が食べられるか、幼児の場合は、水分や食事がとれるかを確認します。食べたり飲んだりできないと、脱水症状を起こす危険があります。
0~3ヶ月の赤ちゃんがせきが出たときの受診タイミング
低月齢の赤ちゃんは気道が狭いので、ちょっとしたせきでも急に悪化して呼吸困難を起こすこともあります。症状をよく観察し、受診するかを判断します。
【緊急受診!!】
□唇の色が紫色をしている
□突然のどに何か詰まったように激しくせき込んでいる
【時間外でも受診】
□呼吸が苦しそう
□一日中せきをしていて眠れない
□ゼーゼー、ヒューヒューなどの音がして、眠れない
□水分がとれない
□声が出ない
【時間内に受診】
□せき以外に発熱、鼻水、下痢、嘔吐などの症状がある
□眠れているが、せきが出る
□せきが長引いている
【ホームケアでOK】
□せきが徐々に軽くなり、元気で水分がとれる
4ヶ月以上の赤ちゃんがせきが出たときの受診タイミング
せきがひどくなっているときは、気管支や肺まで炎症が広がっていることもあるので、早めに受診します。このころからとくに誤嚥にも注意しましょう。
【緊急受診!!】
□唇の色が紫色をしている
□突然のどに何か詰まったように激しくせき込んでいる
【時間外でも受診】
□呼吸が苦しそう
□一日中せきをしていて眠れない
□ゼーゼー、ヒューヒューなどの音がして、眠れない
□水分がとれない
□離乳食や食事が食べられない
□声が出ない
【時間内に受診】
□せき以外に発熱、鼻水、下痢、嘔吐などの症状がある
□眠れているが、せきが出る
□せきが長引いている
□上記の症状はないが、気管支が弱い、ぜんそく気味と言われたことがある
【ホームケアでOK】
□せきが徐々に軽くなり、元気で食欲がある
せきが出たとき 受診前にチェック!先生に伝えたいこと
□ヒューヒュー、ゼーゼー、ケーンケーンなどのせきや呼吸の音の特徴
□せきが出たときの状況(時間帯、直前に食べたものなど)
□発熱、鼻水などほかの症状はないか
□機嫌や食欲など全身症状はどうか
□眠れているか
□のどに何か詰まらせている可能性があるか
□せきで吐くことが多いか
音がするとき、音がする部位をチェックします
息を吸うとき、吐くときのどちらのときに音がするかを確認します。また音が胸の上のほうで聞こえるか、下のほうで聞こえるか、胸に手をあてた感じを医師に伝えると診断に役立ちます。また、レコーダーやビデオで音を録音して聞いてもらえればさらにいいでしょう。
せきが出たとき 受診前のホームケア
赤ちゃんのせきが出たとき、小児科を受診する前のホームケアの方法をご紹介します。
せき込んで苦しそうなとき
せき込んで苦しそうなときは、たて抱きにするか、座らせて背中をトントンしてあげましょう。寝かせた状態で背中をさするよりも、せきが少し楽になります。
離乳食や食事について
元気で食欲もあれば、離乳食や食事はいつもどおりあげてもいいでしょう。せきで吐くこともあるので、のどごしのいいものを少しずつ与えたほうが安心です。
せきが出たとき 様子を見るときや、受診のあとのホームケア
せき込んでよく眠れなかったり、吐いたりするときは、たて抱きにするか、座らせて背中を軽くとんとんしてあげましょう。たんがきれやすくなり、せきが少し楽になります。
【寝かせ方】布団に寝かせるときは上体を少し起こして
寝かせるときは、小さめの枕やクッションを背中にあてて、上体を少し起こします。気道が通りやすくなり、せきが楽になります。
【離乳食・食事】少しずつ与えていきます。
せき込んで吐くこともあるので、離乳食や食事はいつもより少なめの量にします。むせないようにやわらかめのものを与えます。食欲がないときは、野菜スープなどを与えます。
【水分補給】少量の水分をこまめに与えます。
のどを湿らすと、たんがきれやすくなります。のどを刺激する柑橘類の果汁や冷たいものは避け、湯冷ましや麦茶などをスプーンで少しずつ与えます。
【室内環境】換気をこまめにします。
こまめに換気をして、室内の空気をきれいにします。空気が乾燥しすぎないように加湿器などを利用して、室内の湿度を50~60%に保ちましょう。
【おふろ】おふろに入れると湯気で呼吸が楽になります。
元気があれば、ぬるめのお湯(39~40度くらい)にさっと入れて体を清潔にしましょう。湯気で呼吸が一時的に楽になる効果があります。せきがひどいときやゼーゼーするときは、おふろは控えます。
せきが出たとき せきが出ているときにやってはいけないこと
部屋を暖めすぎると室内が乾燥して、せきがひどくなります。とくにエアコンを使う場合は、乾燥しやすいのでこまめに換気をします。加湿器を利用するなどして、乾燥を防ぎましょう。
部屋によって温度差をつけすぎる
冷たい空気はせきを誘発します。リビングをしっかり暖めていても、乳幼児を寝かせている寝室が冷えていることはよくあります。家の中の温度差に注意しましょう。
ママ・パパの自己判断で薬を飲ませる
せきにはいろいろな原因があります。原因がわからないまま、自己判断でせき止めの薬を飲ませるのはやめましょう。たんをきることができずに、さらに悪化してしまうこともあります。
室内で喫煙をする。
たばこの煙がせきの原因になっていることもあります。ママやパパが換気扇の下やベランダで吸ったとしても、煙の影響をシャットアウトすることはできません。
●イラスト/仲川かな・小西優子
※表記している、月齢・年齢、季節、症状の様子などはあくまで一般的な目安です。
※この情報は、2019年4月のものです。
初回公開日 2019/4/30
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