赤ちゃんの感染症 突発性発疹の症状とケア【医師監修】
ウイルスや細菌が赤ちゃんの体に入り込み、発熱、せき、鼻水、発疹などを引き起こす感染症。「突発性発疹」は赤ちゃんが最初にかかる病気の代表格。初めての発熱でママ・パパがあわててしまいがち。生後0ヶ月~3歳ごろまでの赤ちゃんが、かかりやすい病気の症状やホームケアをまとめました。
赤ちゃんの突発性発疹 主な症状
・発熱
・発疹
赤ちゃんの突発性発疹 なりやすい月齢・年齢
生後4ヶ月~2歳
赤ちゃんの突発性発疹 なりやすい季節
通年(春・夏・秋・冬)
赤ちゃんの突発性発疹 こんな病気
ヒトヘルペスウイルス6型、7型の感染によって起こる病気。突然、38~39度の高熱が出て、3~4日続きます。熱のわりには比較的機嫌がよく、食欲もそれほど落ちないことが特徴です。
熱が下がるころから、あせもに似た赤くてこまかい発疹が胸やおなかに出て、やがて全身に広がります。急に不機嫌になったり、下痢をする赤ちゃんもいますが、2~3日すると発疹の色も薄くなり消えていきます。ほかの赤ちゃんにうつることはほとんどありません。高熱が熱性けいれんのきっかけになったり、まれに急性脳症などの合併症を起こすこともあるので注意が必要です。
★赤い発疹が胸やおなかに出ます。手や足にはあまり見られません。
高熱が3~4日続き、その後、発疹が出ます
赤ちゃんの突発性発疹のケア
発疹が出るまでは突発性発疹の診断がつきにくいため、経過観察が必要です。機嫌がよく、水分も十分にとれているなら、ほとんどの場合は処方薬なしで自然に治ります。4~5日たっても熱が下がらない場合は、再度受診しましょう。
熱のため、いつもよりミルクの飲みが悪くなったり、離乳食が進まなかったりすることがあります。その場合は湯冷ましや薄めた麦茶などを与え、十分に水分を補給し、安静にしましょう。元気ならば入浴もOKです。
赤ちゃんの突発性発疹Q&A
【Q】感染するの?かからない子もいるの?
【A】感染源は被感染者の唾液。4歳までに、ほとんどの子がかかります。
突発性発疹のウイルスは、一度感染すると体内に潜んでいます。母体免疫が低下する6ヶ月ごろから、濃厚に接する人の唾液から感染します。風邪のような症状や下痢などだけで発疹が出ずに終わることもあるため、感染したかわからない場合もありますが、ほとんどの子は4歳ごろまでに、なんらかの症状を伴って発症していると考えられます。
【Q】発疹が出ていなくて、発熱だけでも突発性発疹と判断できるの?
【A】発疹が出てからでないと突発性発疹だとはいえません。
どんな病気も発熱のみで判断することはできません。発熱後の経過を観察した上で判断します。そうしないとまったく違う病気である可能性を見逃してしまう危険があるからです。高熱が出るとママ・パパは早くなんの病気か知りたくなりますが、いろいろな病気の可能性を視野に入れながら診断していきます。
【Q】突発性発疹の高熱で、けいれんを起こすのではと、心配です。
【A】病気が原因ではなく、けいれんは体質によるものです。
発熱によって起こる熱性けいれんは、熱が急に上がり始めるときに起こります。熱性けいれんの発症には遺伝的要素があり、突発性発疹で高熱が出たからけいれんにつながるとは限りません。けいれんを起こしやすい体質の子が突発性発疹にかかるなどして高熱を出すと、けいれんを起こすと考えられます。
【Q】突発性発疹に2回かかることもあるの?
【A】ウイルスはわかっているだけで2種。再活性化もあります。
突発性発疹を起こすウイルスは、ヒトヘルペスウイルス6型と7型の2種類がわかっています。ほかにも似たような症状を出すウイルスもあるので、突発性発疹に2回以上かかることはあります。感染したあと体に潜んでいたウイルスが、体調をくずしたときに再活性化して発症する可能性もあります。
【Q】突発性発疹の発疹は、皮膚が炎症を起こしているの?かゆくはないの?
【A】炎症ではなく、毛細血管の拡張によるものです。
突発性発疹の発疹は、皮膚が炎症を起こしているものではなく、皮膚内の毛細血管が部分的に拡張して赤く見えているだけです。血管の拡張によるものなので、あとが残ることもありません。じんましんなどの発疹でかゆみが伴うのは、体内にヒスタミンという物質が出るのが原因です。突発性発疹はヒスタミンが出ないので、かゆみはありません。
【Q】突発性発疹で薬を処方されたけれど治療薬はあるの?
【A】残念ながら突発性発疹のウイルスを抑える治療薬はありません。
突発性発疹の原因であるヒトヘルペスウイルス6型・7型を抑える薬はありません。ただし、鼻水やせきなどの症状がひどい場合に、その症状を緩和する薬が処方されることもあります。突発性発疹のウイルスには抗菌薬は無効です。
●イラスト/ヌガトモコ
■赤ちゃん 感染症
・突発性発疹(とっぱつせいほっしん)
・インフルエンザ
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・RSウイルス感染症
・ヘルパンギーナ
・手足口病(てあしくちびょう)
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・溶連菌感染症(ようれんきんかんせんしょう)
※表記している、月齢・年齢、季節、症状の様子などはあくまで一般的な目安です。
※この情報は、2019年4月のものです。