赤ちゃんのおなかの病気 鼠径ヘルニア・脱腸の症状とケア【医師監修】
赤ちゃんの胃や腸は、機能や形態が未発達です。吐きやすく、粘膜が敏感なため、ウイルスや細菌に感染すると下痢を起こしがち。おなかの病気でいちばんの手がかりは、うんちの変化。いつもと違うと感じたら、早めに対処することが大切です。生後0ヶ月~3歳ごろまでの赤ちゃんが、かかりやすい病気の症状やホームケアをまとめました。
赤ちゃんの鼠径ヘルニア(そけいへるにあ)・脱腸(だっちょう)って?
小腸が太もものつけ根の腹膜から突出。ふくらみに気づいたらすぐ受診を。
鼠径ヘルニア・脱腸の主な症状
・鼠径部や陰囊がふくらむ
鼠径ヘルニア・脱腸になりやすい月齢・年齢
新生児期~
鼠径ヘルニア・脱腸になりやすい季節
通年(春・夏・秋・冬)
赤ちゃんの鼠径ヘルニア・脱腸 太もものつけ根にふくらみが出てきます
おなかの中にあるはずの小腸が、太もものつけ根の鼠径部にある腹膜の穴から飛び出す病気です。
太もものつけ根にやわらかい腫瘤のようなふくらみができます。胎児のときに閉じるはずの腹膜鞘状突起が開いたままになっているのが原因です。
普段からふくらんでいることもありますが、泣いたときや排便時など、おなかに力が加わるとふくらみが目立ちます。痛みはなく、男の子に多いのが特徴です。
男の子では、小腸が陰囊の中に入り込み、陰囊が大きくなることもあります。
赤ちゃんの鼠径ヘルニア・脱腸 治療
鼠径部のふくらみに気づいたらすぐに受診して、陰囊水腫との違いを診断する必要があります。
生後4ヶ月くらいまでに約30%の赤ちゃんは自然に治ります。
生後4ヶ月を過ぎても治らない場合や、何度も繰り返すときは手術を行うことになります。
飛び出した臓器が狭い場所で締め付けられ、飛び出した組織の血流が悪くなる嵌頓を起こすと、脱出した臓器はむくんでかたくなり、おなかの中に戻りにくくなります。
嵌頓を起こすと赤ちゃんは不機嫌になり、ぐったりして嘔吐などの症状が見られることも。
症状が軽い場合は簡単な手術をして、早期に退院できますが、嵌頓を起こすと、腸を切る大手術になる場合があります。
嵌頓を避けるためにも、早期の受診が重要です。
低出生体重児の場合は、嵌頓しやすいので注意が必要です。
●イラスト/ヌガトモコ
■赤ちゃん おなかの病気
・ウイルス性胃腸炎・乳児下痢症
・細菌性腸炎・食中毒
・腸重積症
・肥厚性幽門狭窄症
・胃食道逆流症
・胆道閉鎖症
・先天性胆道拡張症
・鼠径ヘルニア・脱腸
・臍ヘルニア
・臍炎・臍肉芽腫
■ママ・パパが気になる!赤ちゃん おなかの症状
・乳糖不耐症
・単一症候性下痢
・腸管リンパ濾胞過形成
・レンガ色の尿
・生理的嘔吐
・生理的便秘
※表記している、月齢・年齢、季節、症状の様子などはあくまで一般的な目安です。
※この情報は、2019年4月のものです。