赤ちゃんの皮膚の病気 あざの症状とケア【医師監修】
赤ちゃんの肌はとてもデリケート。汗や汚れ、気温・湿度の変化、衣類やおむつとの摩擦など、ちょっとしたことでトラブルを起こしてしまいます。また皮膚は、熱や感染症などのサインを出してくれます。何か異常があったら、早めに受診しましょう。
赤ちゃんのあざって?
種類によって消えるものと消えないものがあります。
中には悪性化するあざもあるので注意が必要。
あざの主な症状
・皮膚の一部に色がついているように見える
あざになりやすい月齢・年齢
先天性、新生児期~
あざになりやすい季節
通年(春・夏・秋・冬)
赤ちゃんのあざは赤、黒、青、茶など、 色や形はさまざま
皮膚の色素細胞や、皮膚にある毛細血管の先天的な異常や増殖によって起こる症状です。
赤、青、黒、茶色などの色やその形、現れる体の部位はさまざまです。
赤いあざは皮膚の中の毛細血管が異常に増殖したり、拡張して起こり、血管腫と呼ばれます。赤いのは血管の中の赤血球の色が透けて見えるものです。
青・黒・茶あざはメラニン色素をつくるメラノサイトという細胞が、皮膚の一部に異常に多く集まってできます。
あざの原因はわかっていません。
サーモンパッチ
額の中央、上まぶた、上唇など、体の中心に沿って、帯状や逆三角形に現れる平らな赤いあざ。1歳6ヶ月ごろまでにはほとんどは消えますが、額の赤いあざは残る場合もあります。
額にV字形の、上まぶたにピンク色のあざが見られます。
ウンナ母斑
うなじや後頭部の中心あたりにできる平らな赤いあざ。約半数は3歳くらいまでに消えます。残りの半数は大人になっても残ります。
うなじの赤あざ。髪で隠れるため気にならなければ治療は不要です。
乳児血管腫(いちご状血管腫)
生後1週間から1ヶ月以内に赤い斑点や丘疹が現れ、だんだん盛り上がり、いちごを半分に切ったような形になる赤いあざ。
生後6ヶ月~1歳くらいまで大きくなり、7歳くらいまでには徐々に消えます。大きいものは、皮膚のたるみやちりめん状のしわが残ることがあります。
赤い盛り上がりが特徴。7歳くらいまでに消えます。
毛細血管奇形(ポートワイン母斑)
生まれつきある平らで盛り上がりのない赤いあざ。色が濃く境界がはっきりしています。自然には消えません。
自然には消えないので、レーザー治療をします。
蒙古斑
おしりにある灰色がかった青いあざ。ほとんどが10歳くらいまでに消えますが、色が濃い場合は消えないこともあります。
おしりにできる灰青色のあざ。ほとんどが10歳くらいまでに消えます。
異所性蒙古斑
体幹や四肢など、おしり以外の部位に蒙古斑のような青いあざがある場合をいいます。成長とともに消える場合も多いですが、非常に濃い色で残りそうであればレーザー治療で色を薄くできます。
蒙古斑より色の濃いものが多く、消えにくいのが特徴。
先天性色素性母斑
生まれつきあるこげ茶や黒のあざ。色が濃く、厚みのあるものは毛が生えてくることもあります。生後すぐから5cm以上あるものは、将来、悪性化する可能性もありいずれ切除します。
大きいものは悪性化する可能性があります。
カフェオレ斑
生後間もなく出るカフェオレ色の平らなあざ。1歳ごろまでに1.5cm以上のものが全身に6個以上見つかった場合、遺伝性の病気が疑われます。
カフェオレ色のあざが6個以上見られます。
扁平母斑
平らで境界がはっきりした薄茶色のあざ。できる部位や大きさ、形もさまざまです。
自然に消えませんが治療は難しく、レーザー治療はほぼ効きません。
境目のはっきりした薄茶色のあざ。多くの場合悪性化することはありません。
太田母斑
生後数ヶ月ごろから主に目のまわりに現れる青黒い平らなあざ。悪性にはなりませんが、自然に消えることはありません。気になる場合はレーザー治療で薄くします。
成長とともに濃い色になる傾向もあります。
赤ちゃんのあざ 治療&ホームケア
あざには、成長とともに自然に消えていくあざ、消えないあざ、将来的に悪性化するあざ、悪性化の心配はないあざなどがあります。
自己判断はしないで、まずは皮膚科を受診しましょう。とくにカフェオレ斑は、遺伝性の難病(レックリングハウゼン病)の可能性も考えられるので、早めの受診が必要です。
生まれたときからあるあざの中で、直径5cm以上ある先天性色素性母斑は、将来悪性化することがあるため切除手術が必要です。
これが足の裏やかかとなど、刺激を受けやすい部位にある場合や、急に濃くなったり、大きくなったり、数が増えたりした場合も早めに受診しましょう。
乳児状血管腫は、赤ちゃんのこぶしよりも大きいもの、目の近くやおしりや陰部のもの、出血した場合は早めの受診が必要です。
そのほかのあざはほうっておいても体に異常はありませんが、美容的に気になるようなら、レーザー治療が効果的なものもあります。レーザー治療は特殊な光線をあざにあて、血管や色素を破壊します。
生後1ヶ月から治療が可能で、レーザー治療による傷あとはほとんど残りません。
母斑そのものはレーザー治療をしても完全に除けるものではなく、あとが残ることもあります。
■赤ちゃん 皮膚の病気
・乳児湿疹(にゅうじしっしん)・乳児脂漏性湿疹(にゅうじしろうせいしっしん)
・あせも
・おむつかぶれ
・皮膚カンジダ症(ひふかんじだしょう)
・とびひ・伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)
・水いぼ・伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)
・単純ヘルペス
・じんましん
・薬疹(やくしん)
・アトピー性皮膚炎
・接触皮膚炎
・あざ
※表記している、月齢・年齢、季節、症状の様子などはあくまで一般的な目安です。
※この情報は、2019年4月のものです。