妊娠4週【医師監修】妊婦の症状や体の変化、赤ちゃんの成長
もしかして妊娠?とおなかの赤ちゃんの存在に気づくころです。おなかの赤ちゃんは、最初は魚のような形をしていますが、妊娠7週までに一気にヒトの形へと変化をとげます。妊娠4週目の症状や体の変化、おなかの赤ちゃんの成長、気をつけたいことなど日本赤十字社医療センター周産母子・小児センター顧問/東都文京病院、院長・杉本充弘先生に聞きました。
妊娠4週の妊婦の症状・体の変化
妊娠に気づき、つわりの症状が出てくる人もいます。
月経が遅れ、早い人は妊娠かな?と気づくころかもしれませんね。今まで気にならなかったにおいに急に敏感になったり、食欲がなくなってきたりして、体調の変化に戸惑う人も多いでしょう。空腹時に胸がむかついたり、あるいは、いきなり吐きけや嘔吐に襲われたりして、妊娠に気づくケースもあります。早い人ではつわりの症状が出始めるでしょう。
黄体ホルモンが盛んに分泌されるため、体がだるく熱っぽくなり、一日中眠けを訴える人も少なくないでしょう。 月経の予定日のころに、月経の始まりのような少量の出血、着床時出血(月経様出血)が起こる場合もあります。ちなみに着床時出血(ちゃくしょうじしゅっけつ)を月経と間違ってしまうと、だるさや熱っぽさを風邪と勘違いすることも。この時期は安易に薬を飲まないように注意を。体の微妙な変化に気づいたら、流産や異所性妊娠(子宮外妊娠)の可能性を考慮し、できるだけ早めに受診しましょう。
妊娠4週のおなかの赤ちゃんの成長の様子は?
ヒトの形をしておらず胚と呼ばれています
赤ちゃんのもとになるのは、ママの卵子とパパの精子。卵子は卵巣で育ち、卵巣から出てきた卵子が卵管で精子と合体すると、受精卵になります。受精卵は細胞分裂を繰り返して発育し、無事に子宮内膜に着床することで妊娠が成立します。妊娠4週後半ころになると子宮内には胎のうという袋に包まれた、胚(赤ちゃんの原形)が見えます。
9週までの赤ちゃんは胎芽と呼ばれ、中枢神経や心臓、手、足など器官のもとが猛スピードでつくられる器官形成時期にあたります。
妊娠4週後半ころのエコー写真を見てみよう
妊娠5週ころになると赤ちゃんの入った袋、胎嚢が見え始めます
中央の小さな黒いだ円が、胎のうです。早ければ4週後半から確認できます。胎嚢のまわりにはホワイトリング(白い輪)があり、まわりの組織がしっかりしてくると白っぽく見えます。
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妊娠4週の生活アドバイス
妊娠すると、体や心にさまざまな変化が起こります。その多くは、妊娠を維持するためのホルモンの働きによるもの。ホルモンからのメッセージを前向きに受けとめましょう。
妊娠のサインはホルモンからのメッセージ
「妊娠してうれしいはずなのに、胃はムカムカ、体はだるいし、イライラ気味……」なんていう人もいるかもしれませんね。これらの症状の多くは、妊娠を維持するプロゲステロン(黄体ホルモン)の活発な分泌と関連があります。赤ちゃんは今、1個の受精卵からヒトとしての外観と器官をつくるために、急ピッチで成長しているのですから、ママの体や心にも変化があって当然です。
黄体ホルモンは赤ちゃんの大仕事のサポーター役。集中力がなくなったり、疲れやすかったりするのは、「赤ちゃんの大仕事を妨げないように、ママ、ゆっくりしてね」という黄体ホルモンからのメッセージなのです。まずは家事も仕事もスローダウン。疲れたらゴロンと横になって、無理をしないようにしましょう。
ストレスをためると子宮への血流が悪くなるため、けだるいスローモードに。子宮頸管の粘液で、細菌が子宮に侵入しないようバリアーをつくります。妊娠すると、仙骨と腸骨の関節が緩くなり、産道としての準備を始めます。黄体ホルモンが内蔵の運動にかかわる平滑筋をゆるめるため、腸の動きが鈍り便秘気味になります。甲状腺機能が亢進して代謝が盛んになり、体温が高く、熱っぽくなります。母乳を出すための準備が始まり、乳首がチクチクします。乳腺も徐々に発達し始めます。
薬のことを知っておこう
妊娠したら、薬の使用は慎重に。服用は必ず医師に相談しましょう。
妊娠0~3週末
この時期に飲んだ薬が赤ちゃんに影響することはありません。影響があるとすれば、妊娠そのものが成立しないと考えられます。
妊娠4~7週末
妊娠4週から7週の終わりは、おなかの赤ちゃんの中枢神経(脳・脊髄)や内臓、目や耳などの器官がつくられる時期で、「器官形成時期」といいます。この時期に薬の影響を受けると、細胞分裂が正常に行われず、赤ちゃんの形態に異常が起こることがあります。市販薬を通常の範囲で使用した程度であればまず問題はないものの、妊娠判明後は薬の使用に慎重になりましょう。
妊娠中期以降
妊娠5ヶ月以降、おなかの赤ちゃんに形態異常や障がいを起こす催奇形性の心配はなくなりますが、この時期から「胎児毒性」に注意が必要です。胎児毒性とは、薬が赤ちゃんの発達や機能に影響を与えること。解熱・鎮痛薬として使われるNSAIDs(非ステロイド系抗炎症薬)は、赤ちゃんの動脈管(ママから酸素をもらうために胎児期にだけある血管)を収縮させる作用があります。妊娠後期(28週~)に影響が出やすいので、注意しましょう。
妊娠が判明したあとは、自己診断で薬を飲まずに、体の状態を把握しているかかりつけの産婦人科医にまず相談するようにしましょう。
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妊娠初期の「心配のない出血」と「トラブルによる出血」
出血があるとびっくりしてしまいますね。でも妊娠初期の出血は決して珍しいことではなく、心配のない出血も多いものです。出血の原因をきちんと知ることで、正しい対処法を知っておきましょう。
初期の出血の原因はさまざまです
妊娠すると、子宮粘膜に充血が起こりやすくなるため、ちょっとしたことでも出血しやすくなります。ですから妊娠中に出血があってもトラブルでない場合もあります。とくに初期の出血には、心配のないものも多くあります。
ただ、一方では流産や異所性妊娠(子宮外妊娠)など、重大なトラブルの兆候であるケースもあるので注意が必要です。出血があったら自己判断は禁物です。少量でも出血が見られたら、医師に相談して適切な処置を受けるようにしましょう。
出血が見られたら、すぐに産院に連絡するのが基本です。あわてずに生理用ナプキンをあて、かかりつけ医に状況を的確に説明しましょう。連絡をする際には、①妊娠週数②おなかの張りの有無③出血の色や量を伝え、医師の指示を仰ぎましょう。連絡をする前に伝える内容をメモしておくと、あわてずに済むでしょう。たとえ出血があっても、診察して胎芽心拍が確認できれば、まず心配はありません。
あまり心配のない出血
絨毛膜下血腫(じゅうもうまくかけっしゅ)
★どんな病気?
切迫流産の症状の一つです
子宮を包む絨毛膜という膜の外側に血液がたまっている状態で、ごく初期から見られることも。出血やおなかの張りがある場合もあれば、自覚症状がない場合もあります。切迫流産の症状の一つと考えられています。
★どうすればいい?
出血が多い場合は安静にします
出血や下腹部の痛みや張りがあったら医師に連絡し、受診しましょう。出血の量によっては安静を指示されることもあります。産院では切迫流産と診断されても、妊娠が正常に経過していれば、特別な治療はしません。
★赤ちゃんへの影響は?
症状が治まれば問題ありません
妊娠が正常な経過をたどっていれば、胎盤が完成される妊娠4、5ヶ月には症状が治まるはずですから、赤ちゃんへの影響はありません。医師の許可が下りれば、普段どおりの生活に戻って構いません。
月経様出血
★どんな症状?
月経時のような出血が起こります
妊娠4週ごろに月経時のような出血が起こること。受精卵が子宮内膜に着床し、胎盤がつくられる過程で、たくさんの血管が絨毛膜に入り込むことが引き金になると考えられています。月経時と比べて出血量は少なく、2~3日で治まります。
子宮腟部びらん
★どんな症状?
子宮の入り口がただれている状態
妊婦さんに限らず、若い女性の不正出血の原因として多く見られます。内診やセックスの刺激で出血することもあります。おなかの痛みや張りなどの症状はなく、少量の出血があったり、おりものに血が混じることも。生理的なものなので心配ありませんが、自己判断はできないので、まずは産院に連絡を。
子宮頸管ポリープ
★どんな病気?
子宮頸部にできる良性のポリープ
子宮頸部の粘膜の細胞がなんらかの理由で増殖し、頸部から子宮の出口に飛び出したものです。ポリープから出血することはありますが、痛みはなくほぼ無症状。
★どうすればいい?
妊娠中に切除することもあります
ポリープ自体が炎症(絨毛膜羊膜炎)の原因となり、感染症を引き起こし、早産してしまう可能性が。ポリープが感染の原因になりそうだと診断された場合には、妊娠中でも切除することがあります。
★赤ちゃんへの影響は?
流産・早産の原因になることも
ポリープが流産の原因になることもあります。また感染症を発症し、それが引き金となって早産を引き起こす可能性も。ポリープの大きさや位置、状態によって違いますが、切除すればほぼ問題ありません。
トラブルによる出血
胞状奇胎(ほうじょうきたい)
★どんな病気?
胎盤のもととなる絨毛が病的に増殖します
絨毛が病的に増殖し、ぶどうのような水泡状の粒で子宮内を満たしてしまう病気です。受精卵そのものに問題があることが多く、500人に1人くらいの割合で発症します。自覚症状はつわりがひどい程度で、自分ではわかりません。
赤ちゃんへの影響は?
子宮内容除去術を行うことになります
つわりの症状が強いのが特徴で、茶色のおりものや少量の出血が続くことも。診断されたら、なるべく早く子宮内容除去術(掻爬・そうは)を1、2回行います。その後も1年間ほど通院して経過を診ます。
異所性妊娠(子宮外妊娠)
★どんな病気?
子宮の中ではない場所に受精卵が着床してしまうこと
受精卵が子宮内腔(子宮の中)以外の場所に着床してしまうことで、その95%以上が卵管に着床するケースです。妊娠反応が陽性でつわりの症状があっても、多くの場合は子宮内に赤ちゃんが見えないことで「異所性妊娠」を疑います。妊娠かなと思ったら早めに産婦人科を受診することが大切です。
★どんな症状?
卵管が破裂すると命にかかわります
卵管から出血した血液がおなかにたまり、下腹部痛と少量の出血が見られることもあります。ただ、そのまま卵管妊娠をほうっておくと、卵管が破裂し、大量の出血や、激痛、血圧低下などのショック症状に陥ることもあり大変危険です。
★赤ちゃんへの影響は?
着床した部分を除去する手術をします
残念ながら赤ちゃんはあきらめることに。また卵管破裂が起こった場合には、赤ちゃんだけでなく、ママの命にかかわる危険性も高いので、手術で着床部分を除去する必要があります。もう1つの卵管に異常がなければ次の妊娠も可能です。
監修/杉本充弘先生 文/たまごクラブ編集部
先輩ママのリアル体験談【産婦人科には何週で行った?行くつもり?】
「いつ行けばいいの?と疑問に思う妊婦さんも多いのでは?そこで、妊娠5週前後の妊婦さんに「産婦人科にはもう行った?何週くらいに行った(行くつもり)?」とアンケートを実施。54.5%の妊婦さんが妊娠5週と回答しました。
いくつかコメントも紹介します。「4w6dで受診したら、早すぎてまだ見えなかった。もっと後にすればよかった…」
「私は体外受精だったので4週目で受診でした」
「妊娠の確認をしに5週2日に行き、胎嚢が確認できました。今度は、2週間後来てねということで、7週2日に行き、元気に動いていることが確認できました」
「胎嚢を確認する為、5wに初めて行きました~。 本日7wに入ったので心拍確認に行ってきました」
「希望の産院の予約がとれたのが8wだったのでそれまで待つ予定でしたが、 子宮外妊娠が怖かったので6wで1度行きました」
「6w3dで行きましたが確認できなかったので7w入ったら再検査に行く予定です」
「第一子のときは5週で受診したけど、母子手帳もらえるまでに何回か通う羽目になったので今回は7週で受診予定です!」
「海外在住、今6wです。最初の健診は8wになってからと言われたので、この待ってる間が不安です」
「不妊治療で授かった為9wまではお薬が続きます。 不妊治療のクリニックを卒業してからなので9w以降です」
受診するのが早すぎると、胎嚢が見えないことも。その場合は、「1週間後にまた来てください」と言われることが多いようです。産婦人科を受診する時期の目安は、月経周期が正しい人なら、「月経が1~2週間遅れたころ」がです。でも、不安な場合は産婦人科に相談してみましょう。 ※体験談コメントはアプリ「まいにちのたまひよ」内、同じ出産月のママ・妊婦さん同士で情報交換できるコーナー(ルーム)に寄せられた投稿を再編集したものです。
※グラフは、たまひよ公式アプリ「まいにちのたまひよ」調べ(調査期間:2021年2月~2022年9月、有効回答数:28,464)
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ここでは「妊娠超初期」とは妊娠が判明する前の妊娠0ー3週頃のことを指します。生理予定日付近からそれ以降に妊娠検査薬で確認することで、妊娠がわかる人が多いですが、生理予定日前から基礎体温の変化や出血・眠いなど体調の変化が感じられる人も。
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