妊娠初期(妊娠成立~妊娠15週)に知っておきたい基本情報と気になる症状【医師監修】
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妊娠おめでとうございます。妊娠が判明し、ママの体は出産に向けて徐々に変化を始める時期。この頃つわりがピークを迎える人も多く、不安が大きい時期でもあります。この時期に気をつけることは?妊娠初期症状とは?暮らしの中の注意点や妊娠がわかったら知りたい情報を、日本赤十字社医療センター 周産母子・小児センター顧問/東都文京病院 統括院長で産婦人科医の杉本充弘先生に聞きました。
PROFILE
1973年東京大学医学部卒業。日本赤十字社医療センター周産・母子小児医療センター長、副院長などを経て、2022年より現職。日本産後ケア施設連絡協議会代表理事を兼務。「おなかの赤ちゃんと毎日対話して、明日の力にしましょう。」
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妊娠初期とは? 期間はいつからいつまで?
女性の体は妊娠に備え、約1カ月に1回排卵し、子宮内膜を厚くします。妊娠が起こらないと、この内膜が血液と一緒にはがれおちます。これが月経(生理)です。28日の月経周期では、月経開始日から14日目ごろに排卵が起こります。妊娠が成立しなければ、その2週間後に次の月経が始まります。
一方、卵子と精子が出合って受精すると7~12日で受精卵が子宮内膜に到達し、着床すると妊娠が成立します。妊娠は、超音波検査で卵巣の観察ができなかった時代に月経周期が28日型をベースに、最終月経開始日をスタートと考え、280日を加えた日を分娩予定日(妊娠40週0日)としました。つまり、実質的な妊娠のスタートである着床(ちゃくしょう)時はすでに妊娠3週となります。そして、次の月経予定日が妊娠4週にあたります。
従来の「妊娠初期」は、月経開始日から妊娠15週(妊娠4カ月4週)までを指します。妊娠と診断される妊娠2カ月から10カ月までを3区分すると、初期は2・3・4カ月となり、妊娠15週6日までとなります。妊娠15~16週は胎盤の基本的構造ができあがり、胎動を自覚できるようになる時期です。
なお妊娠41週6日の3分の1と計算した場合、「妊娠初期」は最終月経開始日から妊娠13週(妊娠4カ月)までとなります。ちなみに、妊娠が成立する時期である妊娠4週までを「妊娠超初期」と呼ぶこともありますが、医学的にこうした分類はありません。いずれも妊娠成立前や妊娠成立期を含み、妊娠と診断される前を重視したものです。
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【受精~妊娠7週】妊娠の兆候・つわりが始まる時期、早めの産院選びを
月経周期が28日前後の場合、最終月経(生理)の約2週間後が排卵日となり、受精すると7~12日で受精卵が子宮内膜に着床し、妊娠が成立します(妊娠3週ごろ)。このころは目立った妊娠の自覚症状はありませんが、中には熱っぽくなったり、胃がムカムカしたりしてつわりのような症状が出る人もいます。 月経が1週間以上遅れ、妊娠の予感が高まるのは妊娠5週以降。早い人では、つわりの症状が出てくることも。おなかの見た目の大きさに変化はありませんが、子宮は妊娠前よりひと回り大きくなっています。「妊娠した?」と思ったら、おなかの赤ちゃんへの影響・リスクを考え、自己判断での薬の服用や、お酒、たばこはやめましょう。
「妊娠したかも?!」主な症状とは?
妊娠するとママの体や心に変化が起こります。これは、妊娠すると大量に分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)の働きによるもの。基礎体温を上げ、子宮内膜を厚くし、子宮収縮を抑制するなどして、妊娠を維持しようとします。
また、プロゲステロンには内臓や血管を形成している平滑筋をゆるめる作用があり、胃腸や血管の収縮を抑制するため、胃腸の不快症状や便秘、頭痛などが起こりやすくなります。
妊娠0週~7週目にあらわれる主な症状とは?
- □眠い
- □だるい
- □頭痛がする
- □疲れやすい
- □おりものの量が増えた
- □食欲がない
- □吐きけがする
- □便秘になった
- □熱っぽい
- □胸が張る
- □月経が7日以上遅れている など
妊娠検査薬を使って妊娠の可能性を確認する
妊娠の兆候があったら、妊娠検査薬でチェックしましょう。妊娠検査薬は、妊娠すると尿中に排出されるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが検出されるかどうかを調べるもの。
妊娠検査薬で陽性反応が出たら、正常な妊娠かどうか確認するため、なるべく早く産婦人科を受診しましょう。
妊娠検査薬を使うタイミングは?
・熱っぽい、だるいなどいつもと違う体調の変化がある
・月経が7日以上遅れている
妊娠5週目ころからつわりが始まる
妊娠判明後から、胃もたれやむかつき、吐きけ、食欲不振などつわりの症状が出ることがあります。だいたい妊娠5週から始まり、16週ごろまでに終わるのが一般的といわれていますが、症状や時期は人によってさまざま。
中には、つわりがない人もいれば、妊娠中期まで続く人もいます。また、症状が重い場合は治療が必要になることもあります。
こんな症状が出たら早めに受診を!
・空腹、満腹を問わず吐きけが起こり、水も口にできない
・数日の間に5%以上の体重が減少(体重50kgであれば2.5kg以上)
・起きているとフラフラし、めまいや頭痛がする など
妊娠がわかったらまずは産院を選びましょう
妊娠が判明したら、住んでいる地域の産院情報を集め、分娩予約をしましょう。
産院は、自宅からの距離や施設の特徴をよく理解した上で選ぶことが大切です。
里帰り出産をする場合は、さらに早めの決断と情報収集が必要。里帰り先の産院の評判は、実家の家族や地元の友人からの情報が頼りになります。
産院選ぶときのチェックポイント
- □希望の出産スタイルが選べるかどうか
- □自宅からの距離
- □立ち会い出産ができるか
- □医師やスタッフの雰囲気はどうか
- □診療時間や待ち時間はどうか
- □里帰りをするかどうか。するならば里帰り先の産院選びも
- □母乳育児に対する方針
- □産後の入院中は母子同室か別室か
- □分娩・入院費用
- □入院中の食事やサービス など
【妊娠8~妊娠11週】つわりのピークを迎える時期、感染症やセックスに注意
つわりのピークを迎えます。胃がムカムカするなどで食べられなくても、おなかの赤ちゃんは絨毛を通じて栄養をもらっているので大丈夫。食べられるものを食べたいときに少しずつ口にするようにしましょう。
おなかの中の赤ちゃんは、妊娠10週になると胎芽(たいが)からヒトの赤ちゃんである胎児と呼ばれるようになります。2頭身から3頭身になり、いよいよヒトの形をした胎児としての成長をスタートさせています。
職場への妊娠報告はいつする?
妊娠初期は、つわりで気分がすぐれなかったり、体調不良で欠勤したりすることもあるでしょう。また、妊娠を機に退職、あるいは産休・育休の取得など、職場に対応してもらうことも出てきます。
妊娠がわかり、流産の可能性が低くなる妊娠10週前後を目安に報告を。出産予定日、産休の日程や育休取得の希望なども伝えましょう。
妊婦健診で体調と赤ちゃんの様子を確認する
妊婦健診は、ママの健康とおなかの赤ちゃんの成長を定期的にチェックするのが目的。妊娠経過や体調に問題が感じられなくても、必ず毎回受診しましょう。
おなかの赤ちゃんの心拍が確認でき正常妊娠が確定すると、医師から住んでいる市区町村の役所で母子健康手帳をもらってくるように指示があります。
母子健康手帳は妊娠・出産の経過を記録し、これから生まれてくる赤ちゃんの健康状態、発育・発達の様子、予防接種の履歴を残していく手帳。産院で医師から指示があったら、市区町村の役所に妊娠届を提出し、交付してもらいます。
妊婦健診時に医師や助産師が検査の結果を記入してくれる、母子健康手帳は、いわばママと赤ちゃんの“持ち運び可能な”カルテのようなもの。健診時だけでなく、外出時も常に携帯するようにしましょう。
母子健康手帳と一緒にもらえる妊婦健康診査受診票は、妊婦健診時に提出すると、健診の費用が一部助成されるので、母子健康手帳とともに忘れずに持参しましょう。
妊婦健診の間隔と目的は?
- ・妊娠2カ月ごろ…1~2週に1回(正常な妊娠かどうかを確定)
- ・妊娠3~4カ月ごろ…2~4週に1回(出産予定日が確定し、基本的な検査を実施)
- ・妊娠5~6カ月ごろ…4週に1回(安定した妊娠状態のための体調管理)
- ・妊娠7~9カ月ごろ…2週に1回(早産や妊娠高血圧症候群などトラブルの兆候の早期発見)
- ・妊娠10カ月ごろ…1週に1回(出産に向けた体の状態のチェック)
妊娠初期は感染症にも注意して
妊娠初期はとくに、感染症に気をつけたい時期。かかってしまうと、ママ自身につらい症状が現れるだけでなく、おなかの赤ちゃんに影響することもあるためです。 どんな感染症も予防が第一ですが、100%防ぐことはできません。早期発見・早期治療が重要になってきます。そのためにも、妊婦健診をきちんと受診することが大切。また、いつもと違う症状があったら、医師に相談しましょう。
妊娠初期に気をつけたい感染症の種類と症状・予防法とは?
■水痘【水ぼうそう】
症状:発熱を伴い、顔や全身に出た発疹(ほっしん)が水泡になる。
感染経路:飛沫感染、空気感染、接触感染、胎内感染
赤ちゃんへの影響:初期に感染すると流産の可能性
があり、四肢や目の発達、皮膚の形成などに影響する可能性があります。
予防法:夫や家族に抗体がない場合は、早めにワクチン接種を。
■風疹(ふうしん)※妊娠初期の血液検査でママの風疹抗体価を必ず確認します。
症状:軽い発熱や発疹がある
感染経路:飛沫感染、胎内感染
赤ちゃんへの影響:妊娠20週までに感染すると、先天性心疾患、難聴、白内障などの可能性があります。
予防法:なるべく人混みを避け、夫や家族がワクチン未接種の場合は、早めに接種を。
■麻疹(はしか)
症状:発熱や咳(せき)、鼻水、全身の発疹など
感染経路:空気感染、飛沫感染、接触感染
赤ちゃんへの影響:奇形など直接的な影響の心配はありませんが、流産の可能性があります。
予防法:なるべく人混みを避け、夫や家族がワクチン未接種の場合は、早めに接種を。
■伝染性紅斑【リンゴ病 パルボウイルス感染症】
症状:手足に紅斑(こうはん)ができ、発熱や関節痛を伴う
感染経路:飛沫感染、空気感染、胎内感染
赤ちゃんへの影響:高度の貧血、胎児水腫のあとに流産や死産となる可能性があります。
予防法:上の子がいる場合はうつりやすいと考えて、手洗いやうがい、マスクの着用を徹底しましょう。
■サイトメガロウイルス ※妊娠初期の血液検査で抗体の有無を検査します。
症状:風邪と似た発熱、首のリンパ節の腫れなど。妊娠中の感染と診断された場合、抗ウイルス薬が使用されます。
感染経路:飛沫感染、接触感染、胎内感染、産道感染、経母乳感染
赤ちゃんへの影響:流産・死産、脳や聴力障がいなどを生じる可能性があります。
予防法:上の子がいる場合は、こまめな手洗いを徹底して。食べ物や食器は別にして、口移しや食べ残したものを食べるのも控えて。
■トキソプラズマ症 ※妊娠初期の血液検査で抗体の有無を検査します。
症状:症状が出ないことがほとんど。発熱がある場合も。
感染経路:経口感染、胎内感染
赤ちゃんへの影響:初期に感染すると流産の可能性があり、脳や目、肝臓の発達に影響することがあります。
予防法:生肉は避け、肉類は十分に加熱して食べましょう。ネコのふんに原虫が規制している可能性があるため、妊娠して初めてネコを飼うのは控えたほうが安心。排せつ物の処理はできればほかの家族にお願いを。ガーデニングもゴム手袋をしたほうが安心です。
■梅毒 ※妊娠初期の血液検査で抗体の有無を検査します。
症状:感染の第1期は感染した部分に小さなしこりやくぼみができますが、やがて症状はなくなります。ただし、治療をしなければ、やがて重篤化していきます。感染していると診断された場合、抗菌薬で治療します。
感染経路:経口感染、接触感染
赤ちゃんへの影響:胎児発育遅延をはじめ、死産、目や耳の発達などに重篤な影響をあたえる可能性があります。
予防法:不特定の相手との性交渉を避ける。
■リステリア症
症状:発熱、悪寒、筋肉痛に加え、嘔吐(おうと)、下痢などを伴う。リステリア菌は食中毒菌なので、感染したら抗菌薬で治療します。
感染経路:経口感染
赤ちゃんへの影響:妊娠初期に感染すると流産の可能性があります
予防法:加熱殺菌されていないナチュラルチーズ、肉や魚のパテ、生ハム、スモークサーモン等は食べないようにする。
■インフルエンザ
症状:発熱や頭痛、関節痛などがある。
感染経路:飛沫感染、接触感染
赤ちゃんへの影響:母子感染はしないので、赤ちゃんに影響する心配はありません。しかし、母体が重症になった場合は流産することがあります。
予防法:妊娠の全期間でワクチン接種が可能。流行に備えて予防接種を。
■カンジダ腟炎
症状:外陰部のかゆみや、豆腐のかすのようなおりものが増える。
感染経路:常在菌による自己感染、性感染
赤ちゃんへの影響:分娩時に感染すると、口内でカンジダ菌が増殖して鵞口瘡(がこうそう)と呼ばれる口内炎ができる可能性がある。
予防法:通気性のよい素材の下着を着用する。ナプキンやおりものシートを使用する場合はまめに交換する。入浴時に洗いすぎないよう注意する。セックスではコンドームを使用する。不特定の相手との性交渉を避ける。
■クラミジア
症状:おりものの増加、不正出血など。ただし自覚症状がないまま進行してしまうケースも多い。
感染経路:性感染
赤ちゃんへの影響:分娩時に感染すると、結膜炎や肺炎を起こす可能性がある。
予防法:セックスではコンドームを使用する。不特定の相手との性交渉を避ける。
■淋菌感染症【淋病 琳疾】
症状:黄色くにおいのきつい膿のようなおりものが増える。進行すると排尿時痛や白濁尿が見られる場合も。
感染経路:性感染
赤ちゃんへの影響:分娩時に感染すると結膜炎を起こし、目やにが多くなる可能性がある。
予防法:セックスではコンドームを使用する。不特定の相手との性交渉を避ける。
■尖圭(せんけい)コンジローマ
症状:外陰部から肛門にかけてカリフラワー状のいぼができる。
感染経路:性感染
赤ちゃんへの影響:分娩時に感染すると赤ちゃんののどにいぼ(咽頭乳頭腫)ができて呼吸困難を起こす可能性がある。
予防法:セックスではコンドームを使用する。不特定の相手との性交渉を避ける。
■トリコモナス腟炎
症状:おりものの以上や、腟や外陰部に強いかゆみ、痛みが出る。
感染経路:性感染
赤ちゃんへの影響:とくになし。
予防法:セックスではコンドームを使用する。不特定の相手との性交渉を避ける。
■性器ヘルペス
症状:外陰部が腫れて痛み、水泡ができる。発熱や頭痛。
感染経路:性感染
赤ちゃんへの影響:分娩時に感染すると、全身に重篤なヘルペス症状と発症する可能性が。脳炎や、高熱のため口から栄養がとれなくなるなどで、深刻な状態に陥る場合も。
産道で赤ちゃんに感染する可能性があると判断された場合は、帝王切開分娩になります。
予防法:セックスではコンドームを使用する。不特定の相手との性交渉を避ける。
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- 妊婦さんがウイルスや細菌などに感染し、おなかの赤ちゃんにも感染することを母子感染といいます。その中には先天性トキソプラズマ症、先天性サイトメガロウイルス感染症という病気があります。この2つの病気は、妊婦さんはとくに注意が必要なのですが、産科や母親学級などでは十分な指導が行われていないのが現状です。
妊娠初期の性行為について
妊娠の状態と体への影響が安定しない妊娠初期は、セックスを控えましょう。妊娠5カ月以降で妊娠経過が順調なら、ママの体に負担をかけない範囲でセックスをすることは問題ありません。
妊娠中のセックスでの注意点とは?
・ママのおなかを圧迫する体位や深い挿入は避ける
・コンドームを着用する
・時間を短めにする
妊娠初期に起こりやすい早期流産とは?
妊娠12週未満に妊娠が終了してしまうことを早期流産といいます。流産は妊娠全体の15%前後、その8割以上は早期流産です。 原因のほとんどは、おなかの赤ちゃんに理由があって発生します。仕事や家事、日常的な運動や妊娠判明前の一般的な薬の使用は、まず影響しないといわれています。
妊娠初期は、流産の前ぶれとして出血が起こることもあります。出血やおりものの色や量に異常を感じた場合や、腹痛を伴う場合には早めに医師に相談しましょう。
早期切迫流産(そうきせっぱくりゅうざん)とは?
妊娠12週未満に、出血、下腹部の張り・痛み、おりものの変化といった流産と同じ症状が出ているもので、赤ちゃんの心拍が確認できて、妊娠が継続している状態を早期切迫流産といいます。 感染が原因の場合は感染治療が必要です。おなかの赤ちゃんが元気で子宮頸管(しきゅうけいかん)が閉じている場合、炎症が軽度であれば安静にしていれば症状が治まり、妊娠が継続する可能性が高いので、医師の指示をきちんと守って過ごすことが大切です。
絨毛膜下血腫(じゅうもうまくかけっしゅ)」とは?
切迫流産と診断される原因のひとつとして、絨毛膜下血種による出血があります。胎盤が安定した状態になるまでに、赤ちゃんを包む絨毛膜の外側部分と子宮壁(しきゅうへき)の間に出血して血のかたまりができるものです。血腫が大きいと流産する可能性がありますが、小さい場合は自然に吸収されるので心配ありません。
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- 「切迫流産」と聞くと「流産しそうなの?」と不安になりますよね。でも、すべてが“流産しそう”というわけではなく、多くのママは妊娠を継続できます。自己判断は禁物ですが、落ち着いて対処するために知っておきたいポイントについて、産婦人科医の新村朋美先生に伺いました。
【妊娠12~妊娠15週】体調が落ち着いてくる時期、生活環境の見直しを!
心身ともに妊娠に慣れてきて、体調も落ち着いてきたら、衣食住を見直し、おなかで赤ちゃんを育てる環境づくりをすることも大切です。
妊娠初期の「服装」選びで気をつけるポイントは?
体の冷えは血流を悪くして、子宮の働きを鈍らせます。季節や場所にもよりますが、カーディガンやストール、靴下などで、体を冷やさないようにしましょう。 また、妊娠に直接は影響ありませんが、ヒールの高い靴や体のサイズよりきつめのスキニーパンツを長時間身に着けていると、下半身に負担がかかり、子宮の血流が悪くなる原因に。ローヒールの靴、下半身を締め付けない服に着替えましょう。
妊娠初期の「食事」で気をつけるポイントは?
朝・昼・晩の三食を規則正しくとり、野菜をたっぷりと、バランスよく食べるようにしましょう。外食やファストフードが多い人は、家での食事に切り替えるだけでも違います。母子に必要な栄養をとり、適正な体重増加を心がけましょう。
葉物野菜に多く含まれる「葉酸」は、妊娠する前から意識して取りたい栄養です。妊娠中はサプリメントで補うなどしてもいいでしょう。とくに妊娠初期は食事以外にサプリメントや強化食品による400㎍の葉酸摂取が推奨されています(厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020」)。
アルコールやカフェインの摂取がおなかの赤ちゃんに影響することがわかっています。ただし、どれだけの量を摂取したら、おなかの赤ちゃんに影響するのかは明確ではなく、個人差もあります。妊娠の可能性がわかったら、アルコールの摂取はやめて、カフェインを含む飲み物は控えめにしましょう。
妊娠初期の「生活」で気をつけるポイントは?
心身のストレスは大敵です。ストレスがホルモンに影響を与えることで、卵巣の働きや子宮の血流が悪くなってしまったりすることもあります。生活にゆとりを持ち、リラックスを心がけましょう。
また、十分な睡眠は、おなかの赤ちゃんが育ちやすい胎内環境づくりの第一歩。夜更かしなどによる生活リズムの乱れは自律神経のバランスが崩れ、体の不調やイライラの原因にも。最低7時間は睡眠をとるようにしましょう。
適度な運動が流産の直接の原因になることはありません。とはいえ、妊娠がわかったら、おなかを圧迫する運動や転倒する危険性のある運動、急激に心拍数を上げるような母体への負担がとても重い運動は、やめておきましょう。
また、喫煙すると赤ちゃんに十分な酸素と栄養素が届かなくなるので、妊娠の可能性がわかった時点で禁煙を。副流煙も赤ちゃんに影響するので、喫煙をする家族もこの機会に禁煙に協力してもらいましょう。
妊娠12週以降に起こる後期流産とは?
妊娠12週以降22週未満に妊娠が終了してしまうことを後期流産といいます。
原因は、子宮筋腫や子宮奇形などの子宮の異常や子宮頸管無力症(しきゅうけいかんむりょくしょう)、細菌感染による子宮内の炎症などが考えられています。 早い段階で対応ができれば、流産を防げる可能性も。おなかの張りや、月経のときのような出血があった場合はすぐに受診しましょう。
専門医が回答!妊娠初期の気になる症状Q&A
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妊娠初期に気になるさまざまな症状について杉本先生に聞きました!
【Q】茶色いおりものが出てきました。これも出血なの?
【A】おりものに少量の血がまじることで、茶色く見えているのでしょう。
妊娠初期の少量出血は珍しいことではなく、それほど心配はありませんが、茶色いおりものであっても続く場合、出血量がどんどん増えていく場合、月経2日目のような多めの出血になった場合、腹痛を伴う場合は、産院に連絡して次の健診を待たずに受診を。
症状が軽度で次の健診を待つ場合は、胎盤形成に伴い、子宮内にできる絨毛膜下血腫という血のかたまりや子宮頸管ポリープなどが原因となっていることも考えられるので、健診時に出血があったことを医師に報告し、診察を受けると安心です。
【Q】妊娠がわかってから軟便が続いていて、時々下痢になることも。整腸剤も飲んでいますが、あまりよくなりません。
【A】食事の内容や服装も見直してみて
妊娠初期にはホルモンの影響で腸の働きが弱くなり便秘になることが多いのですが、乳製品が多いなど食生活の内容によっては軟便や下痢になることもあります。バランスのとれた消化のよい食事を心がけ、体を冷やさないように服装にも気を配って。医師に相談しながら様子を見ていきましょう。
【Q】妊娠してから頭痛がするようになりました。ときには発熱も伴います。何が原因ですか?
【A】ホルモンバランスの変化などさまざまな原因が考えられます。
妊娠中はホルモンのバランスも変化し、頭痛の症状が出る人もいます。個人差もあり、妊娠初期で治まることもあれば、妊娠中ずっと継続することもあります。 感染症がなく血圧が高いということがなければ大きな問題にはなりませんが、日常生活がつらいときは、医師に相談しましょう。脱水による血栓症を防止するため、水分をしっかりとり、無理のない生活を心がけましょう
【Q】吐きけはだいぶ治まってきたのですが、今度は食後の胃痛、胃の膨満感がつらくてしかたないです。
【A】逆流性食道炎の可能性も
妊娠初期はとくにホルモンの影響で胃腸の働きが悪くなります。つわりと思っていたら、実は逆流性食道炎だったということもあります。つらくて我慢できない場合は、妊婦さんにも安全な胃薬があるので、医師に相談しましょう。食事は一度に食べる量を減らし、消化のよいものを何回かに分けて食べるとよいでしょう。よくかんで食べることも大切です。
【Q】胸の張りというか痛みのようなものが急になくなりました。流産の可能性もあるのでしょうか?
【A】感じ方や持続期間には個人差があります。
妊娠初期の胸の張りや痛みの感じ方や持続期間には個人差があります。おなかの赤ちゃんの心拍が確認できているのであれば、あまり気にしないようにしましょう。 腹痛や出血、おりものがいつもと違うなどの症状が現れたら、産院に連絡し指示を仰いでください。
【Q】1日だけですが夜、30分くらい腹痛が続きました。出血はないのですが、心配です。
【A】痛みが続く、強くなるようなことがあれば受診を
子宮が大きくなるにつれて、腹痛を一時的に感じることがあります。現在、下痢や便秘などの症状はなく、痛みがおさまっているということなのであれば、心配はいらないと思います。
痛みが続く場合や強くなる場合は、産院での診察を受けましょう。
監修/杉本充弘先生 文/たまごクラブ編集部 胎児イラスト/かとうともこ 図表/はしもときみえ
ママが「妊娠した?」と感じる前から、体の中ではさまざまな変化が始まっています。ママにとって妊娠初期は、そうした変化に体が慣れず、つわりなどでつらいことも多い時期。
ですが、おなかの中では赤ちゃんが着々と育っています。おなかの赤ちゃんのことを第一に考え、なるべくリラックスした気持ちで過ごしましょう。
【先輩ママのリアル体験談】つわり、こうするとラクになる!
妊娠8週前後の妊婦さんに「つわり、ラクになるワザあれば教えて!」とアンケートを実施。「食べたいもの、食べられるものが毎日コロコロ変わる」という声もあるように、個人差がかなり激しいつわり。生活での工夫やおすすめの食べ物などを紹介します。
「あらゆる匂いに敏感」なときは家の中を無臭に
つわり時期の食べ物の救世主はダントツで「梅干し」
「一口サイズのフルーツ」は最強で癒し
空腹時のつわりはちょこちょこ食いで予防
冷たくて、匂いが少なくて、さっぱり系は神食材。
飲み物では柑橘系ジュースと炭酸系が人気
と、さまざまな声が寄せられました。
いずれのセルフケアも「少しはマシになる」「少しはラクになる」というコメントで、妊婦さんたちの奮闘ぶりが伺えます。
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ここでは「妊娠超初期」とは妊娠が判明する前の妊娠0ー3週頃のことを指します。生理予定日付近からそれ以降に妊娠検査薬で確認することで、妊娠がわかる人が多いですが、生理予定日前から基礎体温の変化や出血・眠いなど体調の変化が感じられる人も。
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