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妊娠11週 妊娠3ヶ月

【医師監修】妊娠11週 妊婦の基本情報

早くから便秘がちになる人もいます

日本赤十字社医療センター
周産母子・小児センター顧問
1973年東京大学医学部卒業。日本赤十字社医療センター周産母子・小児医療センター長、副院長などを経て、2015年より現職。東都文京病院院長。東京母乳の会運営委員長を兼務。

妊娠11週の妊婦の症状、体の変化、赤ちゃんの成長

ヒトの赤ちゃん、“胎児”としての成長がスタート!

つわりの症状がまだ続く時期。けれども、赤ちゃんは絨毛を通してママから栄養をもらっています。

子宮は大人の握りこぶしくらいの大きさになっています

 妊娠11週になりましたね。妊娠3ヶ月の4週目で、3ヶ月の最後の週になります。子宮は徐々に大きくなっていき、握りこぶしくらいの大きさになります。ママのおなかの外見はそれほど変わりませんが、下腹部に手を置くと、少しふっくらした感触があるでしょう。子宮が大きくなるのに伴い、子宮の筋肉が伸びていくために下腹部がチクチク痛くなったり、子宮を支える靭帯がピンと引っ張られることで足のつけ根あたりに軽い痛みが走る場合もあります。

 子宮の圧迫やホルモンの作用が原因となり、骨盤内の血流がうっ血しやすくなるので、腰が重くなったり、外陰部や肛門の周辺などに鈍痛を覚えるようになったりする人も。また、同じ理由から、腸の働きに支障が出るため、便秘が始まったり、もともと便秘がちだったのがよりひどくなったと訴えるママが、どんどん増えていきます。胎盤は、まだ完全には出来上がっていないので、激しい運動など無理な行動は避けましょう。つわりはまだ苦しいときでしょう。ママが何も食べられなくても、赤ちゃんはママから栄養をもらっているので大丈夫! つわりは赤ちゃんがおなかにいる証拠ですから、あともう少し頑張りましょう。つわりはいつか必ず終わります。

ヒトの赤ちゃんとして成長をスタート!

おなかの赤ちゃんの成長【8~11週ごろ】

●胎芽から、ヒトの赤ちゃんである胎児と呼ばれるようになります。

●しっぽは完全になくなり頭、足、胴が発達して3頭身に。

●まぶたや唇、歯のもとになる歯胚などができてきます。

●手足の指が分かれ、つめが生え始めます。

●肝臓、胃、腎臓などが働きだし、赤ちゃんは羊水を飲み、尿を排泄し始めます。

いよいよヒトの形をした胎児としての成長をスタート。2頭身から3頭身になり、体の部位や器官ができて徐々に動きだします。臓器が完成すると、赤ちゃんは羊水を飲み、おしっことして排出し始めます。

妊娠11週ころの超音波写真

背骨もしっかりと発達してきました

赤ちゃんの姿が3頭身になり、小さな手足が見えます。まだやわらかいけれど、背骨がしっかりしてくるころ。赤ちゃんの体のわきで盛り上がった部分は、発達途中の胎盤です。

妊娠11週の生活アドバイス

妊娠中のセックスはいたわり合って

お互いに理解し合って、納得できるコミュニケーション方法を探しましょう。

清潔を心がけ「優しくソフトに」が原則

おなかの赤ちゃんに配慮して妊娠中はセックスを控えるパパとママは多いもの。でも実際は、妊娠5ヶ月ごろの安定期以降で妊娠の経過が順調なら、無理のないセックスをすることは問題ありません。ただし、おなかを圧迫するような体位を避け、おなかが張る、出血をする場合は中止しましょう。

妊娠によるホルモンの影響で腟は少しの刺激でも敏感なので、妊娠中は普段以上に清潔を保ち、優しくソフトに楽しんで。

おすすめ体位

前側位

お互いに向き合い、パパがママの体を支えて体の状態を安定させます。

後側位

ママがあお向けの姿勢から片ひざを立てて横向きになり、パパが背後に寄り添います。

<避けたい体位>

後背位

ママの体にパパの体重が乗って深く挿入してしまいがちなので注意が必要です。

屈曲位

体が曲がって不安定な体勢になるので、ママのおなかに負担をかけてしまいます。

セックスレスでも夫婦円満のコツ

挿入はなくても手でしてあげるなど、お互いの体に優しく触れたり、抱きしめ合うことでも気持ちを確かめ合えるはず。素直な気持ちを表しましょう。 一緒におふろに入り、背中を流し合ったり、楽しい会話をしながら入浴することも夫婦のスキンシップ。ただし、長湯は避けましょう。

パパへの「ごめん」「ありがとう」を素直に伝えましょう。相手の気持ちになって自分の思いを言葉で伝えれば絆はより深まります。相手を気づかうことが大切です。さりげないスキンシップ、ボディタッチを行いましょう。日常生活の何気ない場面でスキンシップやボディタッチを。セックスレスでもお互いの気持ちが安定します。

妊娠11週の気がかりやトラブル・病気

気をつけたい性感染症

性感染症はパパと一緒に治療することが大切です。性感染症についての正しい知識を得ましょう。

主な性感染症

●クラミジア

自覚症状がなく感染者が増えています。クラミジア・トラコマチスという病原微生物が原因で、近年感染者が増加しています。妊娠中に行われる血液検査でわかります。初期には自覚症状がほとんどなく、症状が進行し子宮頸管炎を起こすと、おりものの増加などの症状が出ることも。出産までに治しておかないと、赤ちゃんに産道感染する恐れも。

出産までに夫婦で治療しましょう。抗菌薬を服用します。再発しやすいので薬は最後まで飲みきりましょう。また、パパも治療を受けないと、ママに再感染(ピンポン感染)する可能性が。出産までに夫婦一緒に治療することが必要です。

産道感染したら新生児結膜炎や肺炎を起こすことも。
新生児結膜炎や、まれに新生児肺炎になるケースもあります。肺炎になると、多くは発熱を伴わず、咳が出ます。

夫婦でしっかり治療し、コンドームの使用を徹底しましょう。妊娠初期の血液検査で初めてクラミジア感染が判明して驚くケースもあります。パパが感染したままでは治療にならないので、夫婦一緒に薬を処方してもらってください。コンドームをつけないセックスが増加の原因と考えられていますが、オーラルセックスでのどから感染し、さらに性器に再感染することも。完治するまでは要注意。

●サイトメガロウイルス

血液検査で抗体を持っているかを検査する場合があります。妊娠中に初感染した場合や、すでに感染していて免疫がひどく低下した場合、赤ちゃんに感染し、トラブルが起きることも。

産院によっては最初から検査項目に組み込まれている場合もありますが、有料の場合が多いでしょう。

●淋菌感染症(淋病)

淋菌という細菌が原因です。セックスなどによって感染します。外陰部にかゆみを感じ、黄色くにおいのきつい、膿のようなおりものが増えることがありますが、自覚症状がない場合も多いようです。重症になると、早産を引き起こす恐れがあります。出産時までに治しておかないと、赤ちゃんに産道感染します。

●尖圭コンジローマ

ヒトパピローマウイルスが原因で起こります。セックスで感染します。外陰部を中心にカリフラワー状のいぼができます。

産道感染すると、赤ちゃんののどにいぼができ、呼吸困難を引き起こす心配が。ママは出産までにレーザーや液体窒素で発疹を切除して治療しますが、いぼが多い場合は、帝王切開分娩になることも。

●トリコモナス腟炎

トリコモナスという原虫が原因です。セックスで感染します。おりものが増え、腟や外陰部に強いかゆみがあることも。

内服薬や腟座薬などで治療します。夫婦で一緒に治療します。

トリコモナス自体は感染しても妊娠・出産に影響はありません。

●性器ヘルペス

単純性ヘルペスウイルスに感染して起こります。かゆみや痛みを伴う小水疱が外陰部にたくさんできます。
分娩時、赤ちゃんに感染すると、重いヘルペス症状が全身に出ることも。また、発熱して脳炎に発展する場合もあります。分娩時に発疹が出ている場合は、帝王切開分娩になります。

性感染症を防ぐために

1.セックスをするときはコンドームを使用
コンドームですべての性感染症を予防できるわけではありませんが、妊娠中のセックスでは必ずコンドームの着用を。

2.セックスの前にはシャワーで清潔にする
妊娠中は体の抵抗力が落ちています。性感染症以外の雑菌を防ぐためにもセックス前には体と手指を清潔にして。

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